2016年も早いもので残すところ四半期と半月程度となってきました。
今年はユーロ圏では「イギリスのEU離脱騒動」が前半にあったことからユーロは買いにくい通貨をずっと継続させてきており、「ECB」の追加緩和も「ドラギ総裁」がこれにて打ち止めといった余分な発言をしてから買い戻されることとなり、チャートを見ますとここ半年以上比較的幅の広いレンジ相場が延々と続いていることがわかります。
直近でも8月あたりまではその動きがよくわからない存在となってしまい、米国の利上げが市場の最大テーマとなってきた中で、ドルの動きの結果としてユーロが動くという相場を継続させてきました。
しかし、ここへ来てユーロにこれまでと異なる動きがではじめており、ひょっとすると市場のテーマがドル円からユーロドルに移行する可能性がでてきているのです。
2016年下期に入って動意づいてきたユーロドル
チャートを見ていただければすぐにお分かりいただけるように、ユーロドルは2014年4月から2015年3月までに3500PIPSという大きな下落を果たしてから、2015年12月に再度パリティ方向に攻め込んでみた訳ですが、下押しは見事に失敗しその後は1.08と1.16レベルを挟んだ典型的なレンジ相場を継続させてきており、大きな方向感はまったく感じない状況が継続してきました。
しかし、相場を投機という視点で見た場合には、ドル円は今年前半ですでにかなり動いてしまい、例年の値幅16円程度を大きく超えて23円近くの値幅をとって下落していますから、この先さらに下落することはもちろん予想されますが、ここから大きくとれる通貨ペアではなくなっていることがわかります。
またチャートの形として「ヘッドアンドショルダー」を形成しようとしている可能性があり、ここからいきなり100円を切って大幅下落するのではなく、一定の期間レンジ相場で日柄調整としながら年末以降に再度下値を大きく試しにいく可能性ででてきていることも気になるところです。
ユーロは9月に入ってから打診買いがで始まっているようで、これまでとは多少異なるような動意が見られるようになってきています。
ここ2年間でかなりの資金が米国に移動してしまったことからユーロは下がりにくくなっており、しかも「ECB」の緩和措置もすでに債券購入の領域では日銀と同様に購入すべきものがもはやない状態で「金融緩和」によるユーロの下落も見込みにくくなっています。
もちろんユーロ圏では金融危機が燻り始めていますし、英国のEU離脱もまだ問題はこれからですから、諸手を挙げてユーロを買上げる環境にはないのも確かです。
しかし「IMM」の投機筋における通貨ポジションをみますと、ユーロショートは63661枚となっており引き続きショートが積み上がっていますから、米国が利上げをしてしまえば、売られすぎに対して一定の巻き戻しが入ることを示唆する展開になっているとも見える状況です。
相場は常に利益機会を狙っている
我々個人投資家の場合には、相場が動いたところでそれについていくという取引しかするすべがありませんが、投機筋や「インターバンク」は常にどの通貨ペアで取引することがもっとも利益の得られる効率的なものかという視点で為替相場を見ていますから、ドル円はもはや今年後半のテーマから外れかかってきている可能性を感じます。
ただし、ユーロドルについては問題も多く残ってきていますから、市場がユーロの巻き戻しを画策しても、必ずしもそうなるかどうかは別問題となりますから、この段階で断定するのは禁物です。
ただ、ドル円は今年何度も投機筋が買い上げ仕掛けをしては失敗を続けていますので、異なる視点の通貨ペアに仕掛けを換えてくることは十分に考えられる状況です。
すぐに取引するかどうかは別としてこの視点でユーロドルを日々眺めてみておきますと、ここから先思わぬ利益機会に遭遇することができるかも知れません。
(この記事を書いた人:今市太郎)