きのうの「雇用統計」は予想数値よりも少なかったのになぜ、ドルが買われたのかを理解できないという方も多いと思います。この理由は当たり前の話で、8月の雇用者数というのは例年、サマーバケーションで新規の雇用人数は減るのです。
逆に7月はバカンス前の増産によって非正規労働者を多く雇うので例年、雇用者数が増えるのです。
全体的にみるとこの夏季の雇用者数は、平均値に収斂をしたのでアメリカ経済は強いということになり、買われたのです。
もちろん、日本人の投資信託の新規の加入者増によってドル転需要が増え、ドルが買われた側面もあります。何れにせよ今後もドル需要は増えるということになります。アメリカの利上げまでは。
イギリス離脱問題を検証する
上記はポンド円に「移動平均60」を足したチャートになります。6/24の大きな上髭というのは投開票前に離脱を前提とした値段、そして大きな下落は離脱をしたらイギリス経済は落ち込むということになるというマーケットの警告ととらえればいいのです。
つまり平均線60より上になるということは、イギリスは離脱するのと変わらない状態で下に入るとイギリスは離脱ということになります。
今後、数年以内にはイギリスは離脱に向けた動きを加速するでしょうが、そのときにこの60の動きに注目をしていればおそらくかんたんにこの案件に関しては相場の動きを的確に読むことができるでしょう、というのが私の予想です。
何度もいいますが、イギリスのユーロからの離脱は決定しましたけど結論ありきの問題で今後、具体的なプロセスや離脱時期が決まるという話を何度もしています。6月に離脱するわけではありません。
何も経済状況に変化はないのですから「移動平均の60を超えたらこの離脱前の水準に戻る」と考えても全然おかしくないのです。
すなわちポンド円であれば「150円近辺まで戻るよ」ということになります。このように考えていけば、近いうちにポンド円は150-160円の水準に回復するでしょう、というのが私の予想になります。
ポンドドルの場合
ポンドドルはポンドとアメリカの資本取引の結果の取引であることは何度も説明しましたし、また世界の人がポンドのレートといえばポンドドルを指すのは常識になります。
決して日本人の範疇に収まらないようにしなければいけません。物事は世界標準に考えなければいけません。上記はポンドドル日足に60を掲載したものになります。
やっと、1.28-1.32のレンジをやっときのう抜けたような感じなのですが60を超えています。つまり離脱決定時のところを抜けたので、ポンドがようやく見直されるのです。
しかし、個人的な見解というのは、ポンド、および、イギリスへの信頼は揺らいだといっても過言ではありません。なぜ通貨が離脱水準に戻るのに時間がかかるのかといえばかんたんでイギリスを世界の人はあまり信用していないのに他なりません。
イギリス株価
上記は「FTSE」というイギリスの代表的株価指数に60を掲載したものです。おわかりのように、離脱決定直後は大きく売られますがすぐに離脱直前の高値を上回り、今も新値を更新中です。
目先の企業業績は信用するが、イギリス自体は信用していない、つまり株価は信用するが、通貨という国民性を信用はしていない、という証左にほかなりません。
まともな人間ほど目先の利益など信用はしませんし、将来的にはイギリスが中国経済からの依存をやめてもこの株価成長のように成長をしたときがイギリスの成功の可否を握っていると思います。
現在のヨーロッパ経済が停滞をしているということは、結局、中国経済への依存が過度過ぎるということに他ならないと思います。個人的な好き嫌いをこういう場でいうのはあまりお行儀がよくないと思いますが、中国のことは好きではありません。
そうなると韓国のスワップ再開に関して言われると思いますが、韓国も中国のどうしようもなさ、にやっと気付いたか、ということになります。今のイスラム中心のテロが今後は中華圏テロに変化していくのであろうな、とはつくづく思います。
(この記事を書いた人:角野 實)