月足の陽線か陰線かはあまり役に立たない情報

この8月は1日の終値が102.39円ですが、その後お盆の夏休み期間中に大きく売り込まれることとなり、最安値は99.53円にまで下落することとなりました。

しかし最終日の31日ロンドン、NYタイムで103.53円をつけて、なんと高低差4円という結構大きな動きを示現することとなったわけです。

結果論から言えば100円割れで買って我慢して2週間ポジをもっていれば4円の利益を確保できたことになりますが、実際の相場の印象から言えば8月は圧倒的に下落イメージのほうが強く、日々の相場に接してみての8月の印象と月足で振り返る8月というのはかなり異なることがよくわかります。

結局大きく下落するのは夏休み期間ということ

ここ数年、日銀の「量的金融緩和」が入ってからは夏場は相場が膠着してほとんど動かず、大きく動くのは事件事故のときだけということが多かったのですが、今年は珍しく夏休みをめがけて「投機筋」がそれなりの仕掛けをしたものと思われる下落が明確に示現し、ドル円は100円を割る動きが顕在化しました。

ただ、99円台のミドルを何度もトライしたもののそれを割るだけの力はなく、夏休みが終わりジャクソンホールまで膠着したものの、「イエレン議長」、そしてフィッシャー副議長の発言で利上げ期待から大きく買い戻されておしまいというのが、非常に大雑把な流れとなります。

統計上、日足、週足、月足というのはもちろん重要なデータではありますが、月初と月末の相場の数字を見て陽線、陰線というのは間違いではないものの、実際のトレードによる印象の詳細をかなりそぎ落としてしまった結果論に過ぎないことを強く感じさせられます。

したがって8月は円高になりやすいというのはミクロの一部期間だけでみれば間違いではありませんが、月間のマクロ視点でいうと必ずしもそうはならず、月足ベースで8月のドル円を語ってもあまり意味がないことがよくわかります。

秋の相場にも同じことが言える

これは秋口の相場展開も同様のことが言えます。年末に向けてはドル円が上昇しやすいという話がよくでてきますが、月間の動きを週足、日足で見ていくと結構下落しやすいのがこの時期で、特に9月は要注意時期にさしかかってきます。

ドル円の9月相場は103円台からのスタートということになりそうですが、21日の日銀政策決定会合、「FOMC」次第では大きく上昇して終わることも、逆に大幅下落することも考えられ、月単位で上か下かを簡単に語ることはなかなかできないというのが正直なところです。

ドル円の場合、年間で明確なトレンドがでるのはせいぜい2回程度ですが、今年現れたトレンドはみな下方向です。しかし現実のデイトレや一週間単位程度のトレードでは相場状況によって上方向でもしっかり利益をとることができるのです。市場ではドル円の動きを語る情報が多く見られますが、相場は上がったから下がるのであって、どの部分に着目してトレードするかで同じ期間のトレードをしても買いで儲かる人もいればトレンドどおり売りで儲かる人もいるということです。

定石となる売買法があることは事実ですが、チャートで上昇と下落を見極めることができるのであれば、人が指摘する目線とは別の視点でも十分に利益を出すことができるということをこの8月相場では強く感じさせられました。