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毎回発言のたびに市場の注目を浴びる、ダブルラインキャピタルのCEOで新債券王の異名をもつ「ジェフリー・ガンドラック」が殆どの資産を売っておけと推奨したことに市場で大きな注目が集まっています。
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この発言は「ロイター」のインタビューに答えたもので、芸術家である「Christopher Wool」の作品を引き合いに出して発言したことが大きな話題となったものです。
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金融市場成功者が口を揃えて言い始めた市場からの撤退
「Christopher Wool」はなかなかエキセントリックな作品を作ることで知られているようですが、「ガンドラック」は彼の『家を売れ、車を売れ、子供を売れ』という作品を例にとりながら、この内容は今自分が感じていることであると話、あらゆるものを売っておくべきだと強調しています。
作品は上記になります。これが作品としてどこまで芸術性のあるものなのかはよくわかりませんが、とにかく、家を売れ、車を売れ、子供を売れというのはなかなか刺激的な内容で「ガンドラック」自身は株式市場の大幅下落と債券市場バブルの崩壊をひどく気にしているようです。
もともと「新債券帝王」ですから株を売って債券を購入する話なら彼一流の「ポジショントーク」ということになりますが、今は「すべてを売るべきだ」としているところが非常に気になる部分です。
実は初代の債券王と呼ばれた「ビル・グロース」も8月3日に発表された月間投資見通しで、金や不動産を推奨する一方で、価格がつり上げられているとして大半の株式や債券を避けるよう投資家に助言して注目されています。
投資家としてかなり強気な運用で成功を収めている「ラリーウイリアムス」も自身が発行しているラリーTVにおいて、8月末から9月の市場の下落に注意を払うよう告知しており、その内容は「ガンドラック」や「ビル・グロース」ほどではないものの、同様の警鐘を鳴らす結果となっています。
低金利の投資難から資金が異常に集まりすぎた米国市場
11日の米国市場では、原油価格の上昇を好感して株式市場ではダウが史上最高値を更新し「S&P」も史上最高値、ナスダックも続伸し最高値更新というトリプルの高値が続いている状況です。
「経済指標」に目を移すと結果はまだら模様で、直近の小売売上高などは事前予測を下回るものになっていますが、世界的に低金利で運用難に陥っている金融市場では、米国に資金が回帰しはじめており、株式も「ゼロ金利」よりはましという単純な理由で、決して割安ではないものの、資金が流入し続けている状況です。
万人が強気を口にしたら相場はおしまい
現在の米国株式市場はとにかく強く、ほとんどの市場参加者が下落のリスクをまったく感じないままに推移し続けはじめていますが、あらゆる市場参加者が強気を口にするタイミングは、かなり危ない時期にさしかかっている兆候を現すものです。
大きく下げる前は一段高になって、花火を打ち上げて終わるのが定石であるだけに、今がそれにあたるのかどうかの判断が求められることになりそうです。
ただその一方で危ない危ないといわれた時期に株価が暴落することは少なく、気にしすぎとの声も聴かれるところが個人投資家を惑わす原因にもなっています。
暴落というのは投資の中でも時間軸、利益ボリュームといったあらゆる条件面で非常に魅力的な収益を短期間に上げられるものです。
ですから、とれるものなら逆張りでとっておきたいところですが、これだけ名だたる投資家が「市場からの撤退」を口にするということは、何か相場の異変を感じていることだけは確かで、売りを仕掛けてまで儲けに走るかどうかは別としてこの秋口、とくに8月後半からの相場は慎重に扱うべき時期に来ているのかもしれません。
昨年の8月12日「中国人民元」がいきなり切り下げとなり、その2週間近くあとになる8月24日米国の株式市場が開始になる直前にフラッシュクラッシュが起きたのは記憶に新しいところです。
フルの投資で下落に備えるかどうかは個別の判断になりますが、ここからは下落リスクに備えておくというのも重要になりそうです。
特に暴落はなくても9月から10月にかけては米国の株価は下落傾向にありますので、売りは利益を得やすい状況です。
米国政府は依然としてドル安を進めようとしていますので、ドル円も売り持ちが利益を得やすくなっていることは事実です。著名投資家の警鐘にどう応えるかはまさに個人投資家ひとりひとりが考えるべきことになってきています。
（この記事を書いた人：今市太郎）
