夏場の場の薄いときの為替市場は、何で相場が動くかわからないものですが、11日のNYタイムに、サウジアラビアのファリハ・エネルギー産業鉱物資源相が、石油輸出国機構(OPEC)加盟国と非加盟国が市場安定化に向けて協議することを明らかにしたことから、原油価格が急激に上昇することとなりました。
それを受けてNYダウも史上最高値を更新。ドル円も101円で右往左往していたのが、いきなり買い上げられストップをつけてNYタイムに102.05円まで買いあがり、明けた12日の東京タイムでも102円台を維持し続けています。
突然の原油価格の上昇は市場でかなり好感されており、株式市場も為替市場にも予想以上に大きな影響を与え始めています。まだ結論がでるまでに時間がかかりそうですから、現状のレベルからどこまで相場が上昇するかが大きく注目されるところです。
ドル円については「実需」の売りが103円台以上にかなり並んでいることから簡単には上昇するとは思えませんが、株価のほうは比較的上がりやすい環境にありますから予想外に上伸する可能性も否定はできない状況になってきています。
本当に減産に合意ができるのか?
「OPEC」と非加盟国により減産協議は昨年から何度となく設定がされていますが、会議のたびに合意ができずに終わっています。
これまでのこうしたん減産合意では、もっとも日量の多いサウジアラビアが減産を行っても加盟各国はまともに減産を行わないという、実にレベルの低い掟破りが頻発することからある程度の合意ができてもまったく供給量が減らないというお粗末な結果が繰り広げられることが多く、本当に調整ができるのかどうかに大きな注目が集まります。
「OPEC」加盟国と非加盟国の会議は来月にアルジェリアで9月26─28日に開かれる国際エネルギーフォーラム(IEF)の席上で話し合わせる予定で、原油価格の安定化に向け必要な措置などについて合意が得られるかどうかがポイントとなります。
したがって、このネタでは当分思惑で相場が買い上げられたり出席者の否定的な発言で下落したりという動きが継続しそうです。
まだ実施までには1ヶ月以上の期間がありますから、相場は一方向には動かない可能性もありそうです。
一時的に原油価格は回復しても交渉失敗なら下落か?
とにかく足元の市場では産油国各国が最大の生産を行っているため、市場の在庫は過剰状態となっており、これが少しでも是正できれば一定の価格を維持することができるようになりそうです。
しかしこうした話し合いは毎回暗礁に乗り上げておしまいとなることから、今回の会議でもどこまで信憑性が得られるかが大きな問題になりそうです。
結果がわかるまでには1ヶ月以上の時間が残されているのが唯一の救いであり、それまでは相場も上昇を維持することも期待されます。
S&Pが最高値を更新し続けると意外に早く米国利上げという動きも
今週はほとんど重要指標もなく、夏枯れ相場ですが、閑散に売りなしとはよく言ったもので米国の株式市場はいきなり上昇して至上最高値を更新中です。
これで原油価格がサポートになりながら株価が大きく上昇することになれば、意外にも早いタイミングで米国が利上げに踏み切るといった新たな展開になることも予想され、今後の動きが注目されるところです。
ただし、1バレル50ドル超という水準はかなりの高値であり、ここから戻ってもこれを突破するような動きにはならないとも思われ、大きな上昇につながることはあまり想定できません。
最高値を更新してから長らく停滞していた株式相場ですが、原油価格に大きく揺り動かされる形で上昇しています。すでにピークに達しているようにもみえましたが、ここからさらに上昇すれば市場の状況にも変化が現れそうです。
(この記事を書いた人:今市太郎)