クレディスイスから米国シティー銀行が、デリバティブ資産を買ったという報道がありました。
かんたんに説明すると、昔からクレディスイスというのは私たちの仲間内ではクレージースイスと言われており、そのディールの内容を見ても何をやりたいのかさっぱりわかりませんでした。
おそらく複数の銀行が合併してできた銀行なので、いろんな注文を受けているのは確かだと思います。一方でシティーはアメリカを代表する商業銀行で「リーマンショック」直後は公的資金を注入され国営化をされましたが現在では財務基盤は強固になります。
リーマン直後はアメリカばかりの被害が報道されましたが、実際の被害金額はユーロの方が多いという話をしました。
アメリカの銀行は公的資金の注入を受けて健全になりましたが、ユーロ圏やスイスの銀行も「ストレステスト」を受けて一応、公表上はきれいになっているように見えますが、「ドイツ銀行」のギリシャ向けの「債券」がギリシャが「デフォルト」をすると、倒産確実の規模のギリシャ向け融資があったりしますので、ユーロ圏の銀行は全くまともではない、という判断ができます。
CDSをシティーに向け売却
財務体質の悪い、クレディスイスがシティーにデリバティブ資産を買ったという報道は金融関係者ならすぐに「CDS」という保険というのがわかります。
CDSとは保険のことでたとえば、A社の株を買って、その倒産した場合のリスクを避けるためにそのA社の株の保険というものを金融業界では「CDS」といいます。
要するにA社の株を買ったはいいものの、その倒産リスクを避けるためにCDSというデリバティブ市場の保険を買うという使い方が一般的です。
先ず、目先の利益に貪欲なシティーが、そんなもの、つまり保険を買うということはどこかの会社や国家が不味いと読んでいるか、もしくは、自分がその国家や企業の株式、債券を大量に抱え込んでいるかのどちらかだと思います。
前者か後者かは推測の域もでませんし、個人的にはどちらでもいいと思います。しかし、クレディスイスは財務体質が悪いのに将来のリスクがある資産商品の保険を売り払うというのは、通常ではありえない判断になります。
つまりクレディスイスが、財務体質の強化といって売却したとしても財務体質の強化をするならば保険はプロテクトするべき財産で、決して売り払うものではありません。
ですからクレディスイスが追い詰められていると判断するべきだと思います。要するにまとめてみると、シティーは飽くなき利益の追求、クレディスイスはヨレヨレの状態で今回のこの状況で、アメリカの一人勝ち、ユーロの徹底的な敗戦というのはほぼ確定しています。
どちらにしろ、クレディスイスと「ドイツ銀行」からは目が離せない状況になっており、ここで何かがあれば世界中のマーケットが大きく動くと思います。つまり大きな悲観論の形成になります。
つまり秋からの議会でその財政出動の審議が開始をされます。今、マーケットに楽観論が支配しているのは、基本このためになります。
みな、秋からの財政出動に期待をしていますし「日本銀行」もおそらく、出動するでしょう。「雇用統計」を受けてアメリカは利上げがほぼ確実な情勢、しかし、ほかの指標が出そろってから最終的な判断にしたいと思います。
参考までに週末のニューヨークダウは、新規買いによる上伸ですから新値を内部要因を伴って上昇していくでしょう。また考え方としては、このユーロ圏の銀行は世界の財政出動によって膿を出してきている可能性があります。
どちらにしても、この財政出動があるから、今、出せるのであればその膿を出してしまおうということでおそらく悪い話が出てくるのだと思います。個人的には楽観論で行きたいと思います。
(この記事を書いた人:角野 實)