イングランド銀行は4日にMPCを開催しますが、今回は利下げを実施するのではないかとの期待が高まっています。
7月のMPCでは利下げを見送りましたが、公表された議事録によればメンバーの「大半」が8月の緩和を予想していることがわかり、今度ばかりは「0.25%の利下げ」が実施されると見られています。
「カーニー総裁」は夏に刺激策を講じると示唆していることもこの見方を強く支えるものとなっていますが、これまで利上げ発言をしても実際には実施していないとんでもない嘘つきの「カーニー総裁」がすんなり自らの言葉通り利下げに踏み切るのかどうかが注目されます。
決定発表はロンドン時間4日正午(日本時間午後8時)であり最新の経済予想も公表される予定です。
ポンドはかなり織り込み済みの状態
7月の「MPC」ではまさかの利下げ見送りで市場を驚かせることになりましたが、今回は事前の議事録の内容からほとんどの市場関係者は「0.25%の利下げ」を織り込んでおり、ポンド円も134円台で推移しています。
したがって、利下げが実施されてもここから大きく下落する可能性は比較的低い状況ですが、逆に利下げを再延期した場合には、ポンドは大きく買い戻されることになり、最近異常とも思えるほど連動感の高いドル円は巻き戻しに巻き込まれる可能性があることに気をつけておきたいところです。
これまでの動きでは7月の「MPC」直後には利下げ見送りから、その後あっという間に4円程度ポンド円は上昇していますので、今回もまさかの見送りとなった場合には同様の動きが出る可能性はきわめて高くなります。
ドル円もその動き次第では、1円以上の影響を受けるリスクがあることは理解しておくべき状況です。
ポンドの下落は既にかなりの利下げ的効果を発揮中
ただ、ポンドは既にBREXIT確定時からかなり下げており、利下げをしなくてもそれと同等の効果があるとされています。
直近の英国市場では原材料の輸入に関して、ポンド安がコストを引き上げるマイナスの効果を発揮しはじめており、これ以上ポンド安が出ることは望ましくないとの見方もではじめています。
また、BREXITの交渉がはじまるのはこの秋からですから、本格的に影響がでるのはまだまだこれからで、現状ではできるだけ金利政策の実行については、温存しておきたいのではないかとの憶測も飛び交い始めています。
順調に上昇中のFTSE100
Data Bloomberg
ポンドが大幅に安くなったということもあり「英国FTSE100」は「BREXIT」決定後も順調に株価を上昇させているというなんとも皮肉な状況が継続しています。
もちろん経済的にはこれから大きな影響がでることが予想されますが、足元では日本の株式市場よりも活性化していることは間違いなく、当初考えられていたほど「中央銀行」の「金融政策」が急を要する状況にはなくなってきていることもわかります。
ある意味で6月末の「カーニー総裁」の発言だけで十分に利下げ的な効果が発揮されているともいえ、今回市場の大方の見通しのとおり本当に利下げを断行するのか再度温存することになるのかが大きく注目されるところです。
市場では、当初見込まれていたほど英国は「EU離脱」による損失を被らないのではないかとの見方も強まっており、投票から1ヶ月以上を経過して市場はかなり落ち着きを取り戻していることが窺えます。
むしろリスクが高くなっているのは「EUサイド」のほうでもあり、離脱直後の過剰なパニック状態からかなり状況は改善しているともいえます。
ただ、MPCでの話し合いのベースになるのは新たな経済見通しであり、エコノミストらの大半は英中銀が2018年末までの成長率見通しを引き下げる一方、ポンド安を反映させて「インフレ」見通しは引き上げるとみていますので、これが今回のMPCでどのように判断されるかが大きなポイントとなりそうです。
7月発表された英国の「PMI、購買担当者指数」ではビジネス活動が7年ぶりのペースで縮小していることが確認されており、この部分だけをとってみれば追加緩和は必至の状況ともいえます。
(この記事を書いた人:今市太郎)