日本銀行が追加の緩和を決定したことには多少の驚きを感じます。
今回の意味
今回の「ETF」買い取り増額ということは日本銀行が市場に対するメッセージになると思います。
つまり、今回「国債」買い取り額を増額せずに実質の株式の買い取りを増額するということは株価の上昇は望んでいます、というメッセージに他なならないことになります。
この意味は外国為替をやっている人にはあまり、株式だったら関係ないと捉えることになると思いますが、日本の株価というのは結局、円安にならないと上昇をしませんので為替、とくにドル円やクロス円レートには大いに関係があるということになります。
つまり日本銀行は、株価を上昇すれば最終的な目標である「デフレ」を退治するというメッセージに他なりません。円安政策に転じたという意味にもとることができると思います。
マイナス金利の意味
この「マイナス金利」というのは結局、国家に対する徳政令と一緒で、要するに標準「国債」である10年物国債を調達してそれを償還する場合、100万円の出資に対して99万円しかお返しをしないという意味になります。
詳細の意味は少し違いますが、ここでは便宜上こういう風に解釈をします。つまり年初の「マイナス金利」というのは実質国家に対する徳政令であって、それ以外は何でもありません。
また、前回も触れたように「マイナス金利」というのは自動的に日本の「GDP」を0.1パーセント減らす効果があり、日本の「GDP」が500兆円と仮定をすると毎年、実質5兆円年間GDPは引かれるということになり、日本のGDPが減るということは円高です。
こうやって考えていくと現在の「103.5円」というレート水準自体が、円高過ぎるということになります。
そして、本日「消費者物価指数」が発表され、その数字がマイナス0.4パーセントと発表をされました。
つまり「消費者物価指数」で減額をした「GDP」を今回の買い取り額増額によって補完したという意味においてもいまの水準というのは本年の106.6-107.4の水準からすると円高過ぎると考えることができますよね。そこに秋に成立する補正予算効果が波及してくるのです。
要するにいまの水準は高すぎる水準
つまり、基準値からは、円高ですし、消費者物価がいくらマイナスになったといえども、本日の日本銀行の発表内容というのは、日本の景気水準を維持させようと苦心惨憺たる数字の結果がこういうことになります。
私は日本銀行の「金融政策」は何一つ変更がないであろうときのうは言明しましたが、その言い訳をすると、「国債」の買い取りの増額というのは、もう本当に日本の財政が危機的な状況にならない限り切れないカードになりますし「マイナス金利」も同様です。
ですから「ETF」の増額というのは予想外の結果であったというのが、私が間違えた原因だと思います。この「アベノミクス」というのは結局、日本の財政を助けるものであり、日本銀行は日本の景気水準を維持するために今回の緩和を行っただけの話です。
しかし、一方で政権側はこの状態になっても力強い景気回復を望んでいるという立場の違いを鮮明にした「金融政策」の結果だと思います。
また、発表直後に急速に円高、株安が進行しましたが誰がどうみても、日本銀行は何もできないと思っている連中が一時的に買っただけだと思います。こういう人たちは昔の経産省の官僚が言ったようにハエのように五月蠅いとしか感じません。
(この記事を書いた人:角野 實)