「FOMC」のほうは7月利上げなしと市場は織込んでおり、対話を重視する「イエレン議長」がいきなり利上げに踏み切ることはないと思われますが、株価が異常に上昇していることから見て、9月以降の利上げに含みを持たせた声明内容などから、ドル円が一時的に上昇する可能性は否定できません。
一方「日銀の政策決定会合」は21日に突如として報道されたBBCラジオでの「黒田総裁」の「ヘリマネ」完全否定発言を受けて、かなり相場が傷んだ状態で、一定以上の期待は残されているものの、ここからはよほどのことがない限り上抜けはできない印象で、特に日経平均は4月の政策決定会合前の相場にかなり似てきている状況です。
ただ、「ジョージ・ソロス」が円売りをしているという噂も飛び交っており、思惑にゆれる市場は継続されています。
ファンド勢もかなりニューマネーをドル円に投入してきているように見えますが、どうやらそれも独自の賞味期限を設定しているようで、この夏相場がずっと買いあがるという幻想は持たないほうがよさそうな展開が想定されます。
8月はファンドも夏休みでポジションは手仕舞い状況
言うまでもなく、ここからは夏休みシーズンということで、儲かっている「ヘッジファンド」は長い場合、2ヶ月の夏休みに入りますから、ちょうどこの7月最終週というのは株も為替もポジションを手仕舞う時期にさしかかっているといえます。
ドル円に関してはBBCの黒田報道が出たおかげで、先週の木曜日段階にある程度手仕舞いが出てしまった可能性が高いようですが、今週「FOMC」と「日銀政策決定会合」を超えれば、一定の資金が相場から逃げていることが考えられ、短期筋の仕掛けもでない凪の相場が続くのが基本になります。
米国の株価は9月~10月に向けて下落確率が上昇
今年は2月から4ヶ月ほど大きな資金が米国株式市場から逃避していたものの、BREXIT騒動以降一気に市場に流れ込んできて「S&P」は最高値を更新中です。
しかしここからは圧倒的に下落の可能性が高まる時期であり、とくに9月については過去200年の米国の株式市場の歴史を見ても下げの確率は極めて高い時期となります。
8月は上述のように多くのファンドがお休みで流動性の低い相場が展開しますから、ひとたび何かあるとドカーンと相場が落ちることが多いとも言われます。
相変わらず何がきっかけになるかは断定できませんが、8月から米国の株価が崩れだし、それにほかの相場が大きな影響を受けることは非常に多く発生するものとなります。
とくに今年の米国の株式市場の上昇は、異常とも思える勢いであり、これが8月末までそのまま継続するとは思いにくい状況です。早ければ8月早々から調整下落がはじまり、9月以降に一気に下落することも想定しておくべきです。
ファンド勢はドル円上昇の賞味期限を8月末までと見ている模様
参議院選挙明けから猛烈に資金をドル円の買いに投入してきている海外ファンド勢ですが、仮に「ヘリマネ」が実現する運びとなっても、一旦の賞味期限は8月末までと見ているファンド勢が多いようです。
ここからは米国の大統領選挙も本格化しますし、なにかと円が攻撃されやすくなることも一因かと思われますが、やはり株式市場が下落方向になると、ドル円が買い上がる時間はかなり限定的になると見ているのでしょう。
したがって我々個人投資家も同様の目線で相場の動きを眺めておく必要がありますし、利益の出ているポジションは一旦リカクして「利食い千人力」にしておくことが重要です。
29日の「日銀政策決定会合」、8月2日発表予定の内閣の総合経済対策と、ドル円上昇のプラスに働く可能性のある材料もまだ残されていますが、ここからは一旦上昇したところは売り場になることも視野に入れて取引することが重要です。
下手をすれば29日に早くも失望売りがでることが予想されますし、20兆円、30兆円と数字だけが踊る「ヘリマネ」期待も内容次第ではかなりの失望売りを招くリスクが高まっており、そのまま下落することも想定しておくべきでしょう。
(この記事を書いた人:今市太郎)