週明け100円台中盤をうろついていたドル円は、11日の昼過ぎの「安倍総理」の経済対策発言から一気に買い戻されることとなり、殆ど一方的に105円台手前まで値を上げる展開になっています。
今年の4月頃ほどではないものの、市場ではかなり「投機筋」の円買いがたまりかけていましたから、この買戻しで円買いを巻き戻した輩が多く、大きく上昇したことも考えられますが、どうやら今年ぜんぜん儲かっていない「ヘッジファンド」が一縷の望みをかけて、日経平均とドル円を買上げているとの噂が流れ始めています。
テクニカル的にはいい線まで戻したドル円
久々にエンベロープ日足13日移動平均線の1%、2%のラインと、13日の「RSI」のチャートを見てみますと既に+2%のラインまで到達しており、かなりいいところまで戻した感があります。
4月以降どんなに相場が戻しても、この2%を超えるほどのトレンドがでたことはないのが実情ですから、レンジ相場であるとすればこのあたりが一旦の売り場になってもおかしくないところです。
6月24日UKの離脱回避の調査結果がでて「106.84円」までドル円が上昇したときでも、この2%は超えていませんので、105円台前半というのは戻りのピークとしてはかなり限界に近い印象があります。「RSI」でみるともう少し上げてもよさそうな位置にあります。
念のため21日ボリンジャーバンドの日足で見ても+1σにかかってきており、さらに2σまで続伸することになるのかどうかが注目されます。
石原会見を聞くとまだ何も決まっていないことがモロばれ
今年、解散も多くなっており「ヘッジファンド勢」が全く儲かっていないことはこのコラムでもご紹介していますが、年後半に向けてなんとか利益を出すために日経平均とドル円を「ヘッジファンド」が買上げているとすれば、必ず儲かったところで反対売買をすることを余儀なくされますから、ずっと上昇過程にあるわけではないことについてはよく認識しておくことが必要です。
ただ、石原担当大臣が会見した内容を聞きますと、指示は受けたが内容はまだ決まっておらず、そもそも原資の見込みが全く立っていない、いわば日銀の国債買取財政ファイナンス次第という、かなりお寒い状況で金額規模だけが先行している感が否めません。
しかも秋の国会で決まっていく話ですからこの7月の梅雨明け前からの期待上昇では息切れすることはほぼ間違いない状況に見えます。
ひょっとすると秋までは引っ張らない、買い仕掛けなのかと勘ぐりたくもなるような動きになっています。
嫌でも期待が高まる29日日銀政策決定会合
こうなるとまたしても市場の勝手な期待として注目されるのが29日の「日銀の政策決定会合」後の発表内容ということになります。
「バーナンキ前FRB議長」が「黒田総裁」と会談したという話も妙な期待を高める結果になっているようですが、総合経済対策で必要な金額も確定していない段階で、先だしのような格好で日銀だけが7月29日に追加緩和を決定するのかどうかはかなり難しいようにも思われます。
今のところすっかり市場ではおなじみになった「ブルームバーグ」日高記者の憶測ホラ吹きバズーカは炸裂していませんが、また政策期待で買上げて結局期待はずれで売られる展開になるリスクも想定しておく必要がありそうです。
⇒ ブルームバーグの日銀観測報道で吹き上がったドル円(2016.4.23)
発射台は高くしておかないとたくさん利益が確保できないと見ると、足元の動きも納得がいく物に見えてきます。
問題はどこまでこの動きについていくかですが、あくまでレンジ相場の中の動きと理解するのであればやがてピークがやってくることになりますし「BOE」の政策決定会合で14日にあっさり利下げが決まってしまいますと、いきなりポンド円が下落してドル円もそれに追随するといったあっけない動きになることも想定しておかなくてはなりません。
ここまでポンド主体でなかなか利益が出せなかった「投機筋」が、新たにドル円で仕掛けた売買と見るとここから先の動きが多少見えてきそうな相場状況です。
(この記事を書いた人:今市太郎)