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16日の「日銀政策決定会合」は大方の市場の事前予想通りに現状維持となったにもかかわらず、相場は株も為替も事実上の暴落状態となってしまいました。
特に為替の世界では11時半の東証の前場が終わったあたりからドル円が急落しはじめ、日銀からの現状維持のメッセージが出る前に既に相場が下落するといった、実に不可解な状況を示現させてしまうこととなりました。
確かに「日銀政策決定会合」はさまざまな思惑から投機筋が仕掛けてくることもあるのは事実です。
しかし、今回はあからさまにドルを売って円を買う動きが前倒しに行われ、結果としてストップロスをつけた相場はあっという間に20銭以上ドル円が下落し、その後市場は後追いするかのように現状維持でドル円を売って104円台に突入しました。
しかもうまく戻ることもできずに、103円50銭台まで下落する相場展開となってしまいました。
市場では完全に政策の手詰まり感を読まれてしまっている
恐らく昨日の為替相場をチャートでリアルタイムに眺めていた多くの個人投資家の方が違和感を覚えたことと思いますが、既に相場は日銀の「金融緩和」による市場のコントロールに限界を感じ始めており、日銀が緩和を実施しても、見送っても相場は売られる方向にあるという印象が極めて強くなりつつあります。
考えて見ますと昨年12月の「補完措置」などというわかりにくい声明の発表時にも、株もドル円も大きく売られ、これが年末相場を大きく崩すきっかけとなりました。
また年初もそのまま相場は崩れることとなりましたが、起死回生になるかと思われた1月29日の「マイナス金利」の導入も2日半だけの相場の上昇後、結局株、為替ともに大崩となり、2月11日にはドル円は111円割れをつけるきっかけとなっています。
そして4月28日の決定会合では、ブルームバーグの事前の憶測報道から買い上げられた相場は、現状維持で大きく失望売りを買うこととなり、5月3日には105円54銭という年初来安値をつけたのは記憶に新しいところです。
つまり「日銀政策決定会合」がある度に、それがきっかけとなって為替相場は大きく下落し、年初来安値を更新する動きになってしまっているというわけです。
そして、16日も残念なことにドル円は「103円台中盤」という円の年初来安値を更新する動きをマークすることとなりました。
戻りも実に鈍く、ドル円100円切れは時間の問題か
「FOMC」、「日銀政策決定会合」を経過して、いよいよ当面の目標は23日の英国の国民投票ということになりますが、これが離脱となれば、もはやドル円100円切れは時間の問題となりそうです。
仮にこのBREXITが回避されたとしても夏場、参議院選挙後の材料出尽くしで株式相場が下落すれば、外部要因に依存することなくドル円は100円台に到達してしまいそうな状況になってきています。
英国起因で急激なドル円の円高が示現した場合、秩序的な動きではないとして「為替介入」ができる可能性も出てきますが、果たしてこうした大きな政治的なイベントの結果として生まれる円高状態が一国だけの「為替介入」で回避できるのかどうかはかなり難しいところがあり、ここからの相場展開はかなり悩ましいことになりそうです。
また100円を切ったところで切り替えした場合には、今度は悪い円安状態となることも考えられ、本格的に日本売りが続くことも危惧されます。
この場合株も売られ円も売られるということになりますから、状況はさらに深刻になります。
丹念に相場の動きを見ていますと、日銀が仕掛けた「金融緩和」の効果は既に終焉を迎えており、「金融政策」だけでは相場をコントロールできなくなってきていることが、はっきりと相場の動きに現れ始めているところが非常に気になります。
7月の「日銀政策決定会合」でもまた緩和への市場期待が高まるものと思われますが、次回本格的な金融緩和策を打ち出しても市場が再度円高、株安へと崩れだせば、そのときこそ日本起因の「中央銀行」バブル崩壊のはじまりとなってしまうのかも知れません。
そのぐらい、日銀は相場をまったくコントロールできないところに追いやってしまっていることが窺われます。
（この記事を書いた人：今市太郎）
