英国のEU離脱を賭けた国民投票まで2週間を切った状態ですが、相場を見ていますとどうもこのEU離脱に関しては全く市場が織込むことができておらず、ネガティブな情報がでるたびに相場が大きくぶれるというリスクの高い状況が続いています。
このままリスク回避が一方的に進むことになると、スイスフランや日本円が大きく買われる可能性も高くなることから週明け以降の取引ではさらに注意が必要になりそうです。
こうした国民投票は過去のもそれほど例があるわけではありませんが、とにかく我々が考えている以上に今回の英国の投票は市場の注目を集めていますので、想定外の動きがでることも十分に考慮しておく必要がでてきています。
英国のEU離脱を織込めていない相場状況
為替相場自体は、英国がEUを離脱することをまったく織込めていないことからマイナスの情報に対して必要以上に反応する動きとなっています。
また市場全体として薄商いであるため、短期の「投機筋」とアルゴリズムによる売買が中心であることからチャートを見ても随所で上下にヒゲがでる状態で、投げと踏みの応酬が継続していることがよくわかります。
またユーロドルもいよいよポンド下落にあわせて影響を受けるようになってきており、リスクオフとなると大きく売り込まれる場面が現れ始めています。
特に市場参加者が減っている状況で、「投機筋」だけが登場して売り買いを進めている相場状況では迂闊に参入して一時的に利益がとれても方向感がありませんから、今度は同じやり方でも損失が出るといった繰り返しになり、決して効率的な売買にはならないことを理解したうえでポジションを作ることが重要になりそうです。
リスクオフのスイッチは欧州主体となるため判りにくい
東京タイムというのは、ユーロもポンドもほとんど主体的には動きませんから急にリスクオフのスイッチが入るのはロンドンタイム以降ということになります。
特に前ロンドン市長の「ボリスジョンソン」がテレビの討論会に登場したといったUKローカルの話題から突然リスクオフのスイッチが入ることがあるため、チャートと経済指標だけみていても何が起きたのか把握できないことが非常に増えてきている点も注意が必要になってきています。
ポンドのみならずユーロが本格的につられて動き始めるようになるとドル円、クロス円全般が突然円高にシフトする可能性が高まりますので、週明けの相場は23日まで十分に注意しながら売買することが求められそうです。
ポジションの枚数を制限することも重要
国内のFX業者の最大25倍のレバレッジであれば、それほど心配したものではありませんが、枚数については不意の動きで大きく含み損を抱えることもありますので、取引枚数を一定以下のボリュームに押さえ込む対応を行うことも重要になりそうです。
証拠金を厚くして、あまり狭い設定でストップロスを置かないというのもひとつの考え方になります。
結局「短期筋」が売ったり買ったりしているだけですので、すぐに相場が戻ることもあり、あまり神経質にタイトなストップロスを置いていますと、損失ばかりが膨らむ危険性もあるのです。
国内で相場を見ているといまひとつ良くわかりませんが、海外勢はかなり今回の英国の投票に神経質になっていますので、想定外の動きが出ることにも注意が必要となります。
特定の「ヘッジファンド勢」などは自前で投票の出口調査を行っていち早く為替や株の売買に活かそうという動きすらではじめていますので、我々が国内で見ている以上に大きなイベントになりつつあるのが23日です。
8時間の時差から考えればメインになるのは24日になってからということも忘れてはなりません。
ポンドが絡む取引はしっかり様子をみるとともに、ドル円でも注意深い取引をしていきたい10日間となります。
(この記事を書いた人:今市太郎)