いよいよ「英国のEU離脱の可否を問う国民投票」まで2週間となりました。
このコラムでも何度か書かせていただいた通り、米国の6月利上げが大きく後退し、日本の日銀の追加緩和もほとんど期待できなくなったことから、市場の興味は英国の投票へ集中し始めています。
連日様々な調査会社がその結果を発表するたびに、ポンドは乱高下を繰返すようになっていますが、5月30日のICMの電話調査で52.2%が離脱支持となって以来徐々に離脱優位の調査結果が多くなりつつあります。
この場でひとつひとつの調査結果を解説しても意味はありませんが、こうした調査が出始めているのにはひとつの理由があるようです。
離脱推進派が仕掛けるキャンペーンが奏功
これは英国内で暮らしていないと実際にはなかなかわからないことのようですが、離脱推進派は寄付などを含めてかなり潤沢な資金をもっているようで、残留派よりも積極的にメディアなどでキャンペーンを行っているのがそれなりに功を奏し始めているからではないか?という観測が飛び出しています。
経済的にはEU内に留まったほうが有利なポイントはたくさんありますし、英国政府が公表しているEU離脱による損失や国民負担の増加は理性的には理解できても、移民問題を触れられるとEU残留がどうしても我慢できないと思っている有権者がかなり多いようで、日本の島国根性にも似た排他的な側面が結構、英国民には強いことがうかがわれます。
海外からの移民の話が討論会などでクローズアップされてしまいますと、非常に不愉快さを覚えて感情的にEU離脱を支持する人が多いというところを巧みに突かれているともいえますが、理由はどうであれEU離脱支持が過半数を超えれば、大きくEUのマーケットが動き出すことは間違いない状況で、為替市場もここ数年では見たことがないような激動が訪れる可能性がでてきているのです。
現状では、若者だけが比較的冷静にEU残留のメリットを認識し残留を支持しているようですが、日本でも同様のように果たしてこうした若者がどこまで真剣に投票行為に参加するのかによっても、その結果は大きく変化することになりそうです。
株も為替も取引が著しく減少中
日本にいると、どこかのくだらない都知事の話などにメディアのニュースが終始していることから、あまり危機感は感じませんが、欧米勢はファンドを含めてどうなるかよくわからないという判断でかなり取引を手控えているのが実情のようで、為替のスポット売買も著しくその取引量は減っています。
したがって妙に「ボラティリティ」の高い相場になりがちですし、ちょっとしたアルゴリズムのいたずらから相場が跳ね上がることも出てき始めており、ここからの取引はたとえドル円やユーロドルであっても、慎重に行う必要がでてきています。
ハイレバレッジを売り物にしている海外のFX業者も、一時的にレバレッジを50倍以下にする動きがではじめているようですので、思わぬところで証拠金不足を起こすことのないようにポジション管理もしっかりしておく必要がありそうです。
英国の出口調査はかなり正確との噂
出口調査というと日本の選挙におけるメディアの調査結果は、かなり秀逸なものがありますが、それに準ずる高いレベルを誇っているのが英国のようで、前回のスコットランドの住民投票でも、相当な精度を発揮しているだけに、どうしても英国のEU離脱でポジションをもって一儲けしたいとお考えならば、この「出口調査を粒さにチェック」することがお勧めとなりそうです。
ただ、あくまでもこの投票は全国でのものになりますから地域別に成否が出ただけで判断するのは厳しいことになります。あらかじめ調査結果がどのように出るものなのかについては、下調べをしておく必要がありそうです。
とにもかくにも、いよいよドル円などの通貨取引にも影響がではじめるタイミングですから、長くポジションを持つようなことはできるだけ控えたいところですし、20日の週についてはやはり様子を見るところからスタートするのが賢明な方法になりそうです。
(この記事を書いた人:今市太郎)