5月末は多くの欧米系「ヘッジファンド」が半期決算を迎えることになり、いよいよ年後半にむけてリスタートをはかるのが6月相場となっています。
ここのところ米国の株式相場も東証の株式相場も異常と思えるぐらい取引が減少しています。
国内の株式相場は完全に海外勢が売買を手控えているのがその大きな理由で、「閑散相場に売りなし」の「アノマリー」どおり、たいして下げもしない展開が続いていますが、2012年末から上昇おしてきた株と円買いという相場展開が完全に終了した感があり、市場では消費増税プラス2%すら実現できない「アベノミクス」に対する失敗という評価が非常に強く広がりつつあります。
今のところ比較的平静を保っている相場に見えますが、どこかのタイミングで株売り円買いに転換する時期がやってくることはほぼ間違いなく、下手をすれば参議院選挙の結果を待たずにそうした動きが出る可能性も考えておく必要がありそうです。
GPIFの動きも十分理解しているヘッジファンド勢
ここ2年「GPIF」がその運用ポートフォーリオを大きく変更して「外債」や外国株に資金をシフトしている状況も「ヘッジファンド勢」はよく理解しており、しかもこうした投資にまともな為替のヘッジをかけていないことはよく知られていることです。
したがって、ドル円の大幅下落が続けばこうした当の「GPIF」自身がヘッジのためにドルを売って円を買わざるを得なくなるタイミングがやってくるため、売り浴びせが成功すれば「GPIF」自身が円高に手を貸す構造が成立することとなるのです。
中国との対話で北京入りした米国のルー財務長官は、ダメ押しの形で、またしても日本を明らかに意識した「為替介入」厳禁の発言をしており、海外の「投機筋」から見るとおよそ日本は「為替介入」のできる状況ではないことがさらに明確になってしまっています。
このタイミングでの円高シフトは「投機筋」にとっては絶好のチャンスとも言える状況になってきているのです。
株価が顕著に下落したのは日本だけの状況
足もとの状況は「アベノミクス」失敗に起因する売りという大義名分が整っていますから、この先大幅下落が示現するのは時間の問題と思われます。
通常参議院選挙年にはその選挙後に日経平均は大きく下げることも「アノマリー化」していますので、夏の相場はかなりリスクが高くなるものと思われます。
しかも今年は6月に相場が上昇する材料もほとんど枯渇してきていますので、下落タイミングが前倒ししてもなんら不思議はない状況になってきています。
日経平均の下落は確実にドル円の下押し要因に
米国の利上げ時期も後ずれ観測が再度高まっており、ドル円を支える要因がどんどん減少する状況にある中で、日経平均が下落し始めれば間違いなくドル円も下方向に動くことになります。
日本時間の7日深夜に開催された「イエレン議長」のフィラデルフィアでの講演もほぼこれまでの内容をトレースしているだけで、決定的な利上げ時期のヒントは与えられないままの状態です。
こうした状況の中で、果たして日本株売りがいつから始まるかが大きな問題ですが、今週で言えば火曜、水曜は結構危ないタイミングになりそうで、それなりの注意が必要となります。
ここから日経平均が下降チャネルの上限をブレイクし、続けて17500円レベルも明確に抜けてくるようならば上離れする可能性も若干は残されていますが、今のところ5月2日からのリバウンドは終了した気配が強く、これで下方向を目指すのならば6月中に15500円割れを再度試しに行くことが予想されます。
この場合、ドル円は確実に105円台を下抜ける可能性が高まり、英国のEU離脱問題が絡めばさらに下方向に動くことを常に意識しておくべき状況になってきています。
少なくとも外資系の「ヘッジファンド」はこの動きを狙っており、どこかで本格的にしかけてくることをしっかり認識しておくべきでしょう。
そのぐらいドル円にとっては相場状況が悪化しつつあるといえます。このタイミングは流れがはっきり変わるまであくまで戻り売りで様子を見るようにし、逆張りの買いはスキャルピング以外できるだけ裂けるようにするのがお勧めです。
(この記事を書いた人:今市太郎)