1日の「安倍首相」の記者会見以来、株も為替も大きく売り込まれることになりました。
そんなに消費増税の延期が問題なのかと思いましたが、どうやら市場は増税見送り以外になにも政策対応がでなかったことにかなりの失望売りが出た模様で、「投機筋」も選挙に向けてあらゆる政策を打ち出すことを期待していただけに、肩透かしを食らった状態になっているようです。
安倍会見から財政出動は秋までないと見込んだ投機筋
Photo 朝日新聞
たしかに個人的にも、増税再延期だけで、よくも会見を実施することになったものだとちょっと驚きましたが、この会見の席上総理の口から「財政出動は秋口に」といった言葉が漏れたことが市場の大きな失望を買ったようで、消費増税の後ずれよりも新たな材料が出てこなかったことが、かなり嫌気されてしまったようです。
海外勢の共通認識としては、とにかく参議院選挙に勝って、なにがなんでも憲法改正をする、そのためにはできる政策はすべて出動させるのが足もとの安倍政権という印象が強かったことから、財政出動が出てこないことに一定の思惑が働くようになってきていることは間違いないようです。
「サミット」で他国に散々勧めていたはずの財政出動は、秋までないという見通しが非常に強まってきているというわけです。
さらに、消費増税が行われない以上財務省出身の「黒田総裁」は6月追加緩和は行わないのではないかという思惑も登場しているようです。
火に油を注ぐ形となった日銀佐藤審議委員の会見
もともと「マイナス金利」に反対を続けてきた日銀の佐藤審議委員が、釧路市内で会見を行った内容も海外投機筋の緩和期待を剥落させることになったようで、「マイナス金利」に深堀に反対といった同氏のもともとからの持論も市場の曲解を招いてしまったようです。
思えば「FOMC」メンバーでも勝手なことを言っているわけですから、日銀の審議委員が持論を展開してみても別に悪い話ではないと思いますが、どうもこのタイミングはよろしくなかったようで、この報道を受けてドル円は円高方向に下落を加速することとなりました。
ドル円はFOMC後参院選を待たずに売り込まれる可能性も
こうなると参議院選挙までは株も為替も大丈夫という話にはならない可能性がでてきてしまいます。
一応「FOMC」までは市場も様子を見ることになると思われますが、6月の利上げの可否がはっきりした段階でドル円は大きく売り込まれる可能性もでてきているといえます。
すでに日本の参議院選挙とそれに向けての「安倍政権」の取り組みは期待されなくなりつつあり、多くの材料をかかえる6月相場にはあまり関係ない存在になりつつあることがわかります。
また英国のEU離脱の可否を占う選挙を睨んで、世論調査の結果次第では投票前にポンドが大きく売られることになり、それにあわせる形でドル円が大幅に円高に振れる可能性もでてきています。
この場合5月初旬につけた105円中盤というレベルを飛び越えて、100円に迫る可能性も否定できません。ポンドの下落はユーロも同様に下落することになりますから、ポンド円、ユーロ円といったクロス円が大きくドル円を下げるドライバーになる可能性は非常に高いといえます。
今月はかなり様々な材料が為替相場を動かすと思われていましたが、日本国内の材料は、早々と影を潜めることになりそうで、参議院選挙を待たずに日経平均などが大きく崩れればドル円も当然のことのようにその動きについていくことになりそうです。
菅官房長官も財政出動については、まだなにも決まっていないといった発言をしていますから、本当に参議院選挙前は何も登場せず16日の「日銀の政策決定会合」もまさかの現状維持が、まさかではなくなりつつあるようです。
果たしてこれで相場がもつことになるのかどうかはかなり疑問が残りますが、何もでない以上戻り売りに徹して下落で稼ぐしか手は無いのかもしれません。
(この記事を書いた人:今市太郎)