「伊勢志摩サミット」が終了し、週明けにそれを受けて「安倍内閣」は予定通りすんなり消費増税延期を打ち出すのかと思われました。
しかし、新聞報道では具体的に2.5年延期などがうたわれているものの、どうもそう簡単に延期にはできない政権内の軋轢が出始めてきており、なにやらおかしな展開が見え隠れし始めています。
本来、伊勢志摩サミットの前に、一定の政策対応がつまびらかになると期待していた本邦の株式関係者は、何も出てこないことにイラつき始めており、高速取引があっても1日2兆円にも届かない相場状況は、ほとんど開店休業状態に陥っているといってもいい、閑散とした雰囲気になってしまっています。
当然ドル円も市場参加者が少ないことから、値が飛んだりする不思議な相場展開で、延期なら延期と週明けに決まってくれないと、思いがけない動きが出る可能性も考えなくてはならない状況にさしかかってきています。
月曜日は東京市場以外はメインの市場がお休みであるため、動意はさらに少なくなりそうですが、この膠着相場は当分続くことについてもあらかじめ覚悟しておくべきかもしれません。
選挙のためなら何でもやるのではないのか?
とにかく自分の政権担当期間内に、憲法改正をしたくて仕方がない首相は手練手管で参議院選挙対策をしてくることはほとんどの市場関係者があらかじめ織り込んでいる状況です。
ですから、土壇場で消費増税延期がもめるとはほとんど思っていないだけに、これがいつまで経っても決まらないとなると催促相場の展開になることも予想され、何も正式決定しないうちから決め打ちでポジションをもつのはかなり危険になってきています。
税金の上げるのをやめるから国民に信を問うというのもどうも不思議なロジックですし、野党が予定どおり増税を迫るというのも実に妙な展開ですが、増税延期なら衆参同時選挙実施などという政治的な、こねくりまわしの世界が継続することは、為替相場にとって決してプラスには働かないことを考えておかなくてはなりません。
いまのところは「レンジ相場」から離れる気配はありませんが、6月だから一旦上昇を見込んでポジションを持つのも、もう少し動きがはっきりしてからにしたほうがよさそうな雰囲気になってきています。
結局FOMCまでずっとこうした膠着状態になる可能性も
国内での財政出動などもうまく出てこないとなりますと、6月15日の「FOMC」まではずっとこの調子でもみ合いを続ける相場になることも否定はできません。
月の後半に向けてはしっかりした展開が望めそうですが、ここ10日間あまりは無理せず相場が動き始めるのを待つというのもひとつの考え方になりそうです。
海外ファンド勢が気にする日銀の動き
ところで海外ファンド勢は消費増税延期になった場合に、本当に「黒田日銀」が緩和に動くのかについて懐疑的になっているようで「FOMC」を受けての「日銀の政策決定会合」がどうなるのかにもそれなりの注目が集まりそうです。
もちろんここでまた何も出なければ、売り浴びせ再燃もありますが、想定どおりの緩和措置の場合に果たしてそこからまた買いあがるのかどうかも大きな注目点になりそうで、外国人投機筋が再度仕掛けをしてくることも考えておかなくてはなりません。
「イエレン」発言で単純にドル高円安が再燃するのかと思いましたが、どうもそんなに為替相場は簡単ではないようで、内閣の中で消費増税をめぐって対立が起きるようなことが顕在化すれば、相場は改めて別の動きを次元する可能性も想定しておきたいところです。
売っても買っても「FOMC」までは大きく動く可能性は低いですから、徹底してスキャルピングや短時間のデイトレに終始するといった割り切った取引がワークすることになりそうです。
なんとも元気の出ない相場状況ですが、とにかくその動向をしっかり追い続けながらチャンスを待つのが一番ではないでしょうか。
(この記事を書いた人:今市太郎)