エルドアン政権はかなり難しい存在

トルコは将来的にEUに参加しようとしている国で、欧州との架け橋になるような地勢的な位置にありますが、シリアにも隣接していることから、紛争や難民問題で矢面に立っており、残念ながら安心してトルコリラを購入できるような状況にはないのが実情となっています。

また、「エルドアン大統領」はかなり強権的に政治を行うタイプであり、近も首相が辞任に追い込まれ、大統領寄りの「ユルドゥルム運輸海事通信相」の就任が内定するなど、政権内のもめごとも絶えない状況が続いています。

さらにこのエルドアン大統領は「中央銀行」に対しても強く圧力をかけており、利下げを要求したりしていることから、「金融緩和」に対する観測も強く、必ずしも高金利国としてそのメリットを享受できない状況になってきています。

架空通貨で流動性も低いため一度買うと売るに売れない通貨ペアに

ご存知のようにトルコリラ/円はドル円とドルトルコ/リラの掛け合わせで作り出されている架空通貨ペアです。この通貨ペアは、流動性に乏しく、しかも殆どの個人投資家はスワップ狙いで購入していることから、よほどレバレッジを下げて取引しているのでなければ、通貨としての下落リスクに常にさらされる事になります。

最安値で購入しているのであれば、為替の損失はそれほど大きなものにはなりませんが、トルコリラ円を40円以上で購入している場合には、簡単に1割以上の損失がでる勘定ですから、スワップと比べても利益になるかどうかはかなり微妙な通貨ペアであることがあらためて理解できます。

同じ時期にほとんどの買い持ち投資家が売りを出してくるため、投げ売りになりやすいというのもほかの通貨ペアにはないネガティブな特徴となります。

つまり、下落が始まれば「売るに売れなくなる」ことは覚悟しておく必要があります。

どうしても買うのなら暴落時がお得

周辺事情を考えればあまり買い向かうのはお勧めできませんが、どうしてもスワップを獲得したいと思うのであれば5月4日の大幅下落のように底値で購入することがお勧めとなります。

また、ドルトルコリラの動きを見ていてこちらで底値になるときもひとつの狙い目となります。

ドル円が100円に近づくタイミングもある意味で買いとなりますが、今後金利が下落することも想定しておく必要があります。こうした通貨ペアはスプレッドが猛烈に広く、一度買うと売るのも大変ですから、相当よく考えて売買する必要がありそうです。

そもそもスワップ狙いというのはFXの世界ではかなり難しくなってきていますが、ドルトルコリラ円をどうしても買いから入るのであれば、ドル円が円高になるタイミングをうまく利用してみるのがいいのではないでしょうか。

最安値で購入できれば三ヶ月程度はそのまま保有し続けても、為替の損失を気にせずスワップを享受することができそうです。

（この記事を書いた人：今市太郎）