「東京オリンピック」が決定してからというもの、デザインマークは盗作騒ぎが起こり、国立競技場は予算オーバーで作り直しがでるなどのケチがつき、今度はそもそものオリンピック誘致に裏金を使ったのではないかという海外からの報道が突如として湧き上がりました。
さらに状況は悪化の一途をたどり始めています。具体的にかかわった広告代理店などの名前も登場し、費用を支払ったこともJOCが認め始めていますから、更なる展開になっても不思議ではないところまできているといえます。
このまますんなり開催できるのか?
これまで世界大戦があって大会が中止になったり、ソビエトのように政治的な問題から西側諸国がボイコットをしてまともな大会にならなかったというケースはありましたが、誘致を金で買ったという情けないことは少なくともこれまで表面化したことはありませんでした。
今回の話が買収にあたるのか、本当に単なるコンサルティング料なのか、ことの顛末はまだよくわからない状況ですが、ウィキリークスのような存在もあるわけですから、いきなり真実が晴天白日のもとにさらけ出される可能性もまだ十分にあるといえます。
しかしインチキで誘致を獲得したと断定された場合、他国から責められて開催中止よりは自主的に返上となる可能性の方が高いと思われ、万が一そういうことになれば経済的にもかなり打撃を受けることは間違いないものと思われます。
五輪返上したらドル円は?
まだ何も決まったわけではありませんが、こうした事情から本当にオリンピックを辞退した場合、ドル円は円が売られるのでしょうか?それとも円高に動くのでしょうか?
本来日本の信頼大幅失墜となれば当然悪い「円売りに市場は走る」ことになるはずですが、果たして本当にそうなるのかどうかが非常に関心の高まるところと言えます。
最終的には悪い円売りの方向がでてくるのだろうとは思いますが、こうした最悪の事態になれば「リーマンショック」後並の不況が不動産業界中心に訪れることになるはずですし、ホテルのような産業の先行投資も、裏切られることになります。
おそらく、まずは株価が大きく下がりはじめ、それにつられて円高になるのが初動ではないかと思われます。
これで収束するとは思えない状況
世界的にお金の話で都合が悪くなるとコンサルティングフィーであると発言するケースが多いようですが、実際にビジネスコンサルの世界を垣間見てきた身からしますと、少なくともビジネスコンサルというのはタイム&マテリアルで、デリバラブル、つまり成果物をかなり明確にしなくてはならないのが基本であり、1億だ2億だとどんぶり勘定でコンサル料をお支払いするような代物ではありません。
建設業界では箱に金を入れて相手先につけとどけをする人たちも「コンサル」と呼ばれているようですが、そんなファジーで荒唐無稽な商売はありえないのです。
それがもし成立することがあるとすれば、何か明確な成果がでるようにお願いしているお金であるはずで、およそコンサルティングフィーとは程遠い存在と言わざるを得ません。
今回の話は海外から火がついているだけに、どのような展開になるのかが実に注目されますが、このまま、うやむやになるケースも考えられる一方で、逃げ場のないところまで追い詰められて簡単に開催返上に追い込まれる可能性も考えておく必要がありそうです。
最悪のケースも想像以上に早いタイミングで表に出てくることさえありますから、一気に相場に影響を与える事態に展開することも考えておかなくてはなりません。
政権との関係性まで話が及ぶのかどうかですが、ろくな成果がでなかった「アベノミクス」とはいえ、この政権が瓦解することになれば相場への影響はかなり大きくなりそうです。
果たして今回の件はどこまで大きな話になっていくのでしょうか?引き続きその展開を注視していきたいところです。
(この記事を書いた人:今市太郎)