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ブルームバーグのトンでもない報道がでてからすでに20日ほど経過していますが、この相場を持ち上げて大きく叩き落すきっかけとなった「ブルームバーグ日高正裕氏」なる人物が書いた内容はリークだったのか、それとも、単なる飛ばし記事だったのかが今頃になって話題になりはじめています。
まあ、大分損をさせられた向きもいるわけですから騒ぎになっても仕方ないわけですが・・。
「ロイター」にせよ「ブルームバーグ」にせよ国内のメディアに比べて、こうした海外メディアの日本駐在記者というのはそれほど人数がいるわけではありません。ですから、徹底取材で培った原稿制作ではない可能性は高いと思われます。
「安倍政権」になってから官邸が御用新聞として長きにわたってリークを受け持ってきた「日経新聞」ではなく「ウォールストリートジャーナル」に情報を流すといった動きもありましたから、ブルームバーグがリークを取り込んでもそれほどおかしくはないわけです。
今回のように英語にしてみるといかにも日銀からのリーク断定のような内容になってしまいますと、海外の「投機筋」が信用する以前にアルゴリズムがヘッドラインを読み込んで、買い上げる動きになってしまうことも市場を大きくかく乱する原因になってきていると思われます。
記事を読んでいるのは「人間だけではない」時代の恐ろしい相場展開というわけです。
いまごろこの記事の真偽を追求しても手遅れ
結果論からいいますと、嘘であろうが、本当であろうが相場がひとたび動き出してしまうと・・もう誰にも止められないということです。
皆が「もしかしたら本当かも知れないと」思い始めてしまうと、もはや事実がつきつけられるまで相場は止まらなくなりますし、ひとたび事実が出てしまうとそれまでの恨みから大きく売り込まれて必要以上に相場は「オーバーシュート」気味に下落してしまうのです。
ゴールデンウイーク前とゴールデンウイーク中とゴールデンウイーク明けを考えて見ますと、なんら経済状況は変わっていません。
しかし、相場は112円割れあたりから105円半ばまで下落し、財務大臣の脅かしに用心しつつ、5月末決算でドル円ショートを巻き戻す「ヘッジファンド」につられて大した意味もなく109円まで、するする戻してしまったということで、「ファンダメンタルズ」から考えても「テクニカル」から考えてもなんとも不思議な相場展開が続いていることがわかります。
次回からこういうネタには引っかかるまいと思っていても、実際に相場が動いてしまうと個人投資家はどうすることもできません。
結局個人投資家にできることは相場についていくことだけか
今後は「日高」という名前がでたら危ないと構えることはできますが、個人投資家としてはすべての国内の記者をこうして識別することはできませんから、結局報道が出てしまうと真偽のほどが判ってもほとんど意味はないというのが個人的な感想です。
ただ、今回の日銀の政策決定の発表時に逆指値の形で下落方向にいくつか仕掛けを入れておけばかなり儲かったことは事実であり、こうした報道で相場が大きく持ち上げられたときには、試しに逆方向で利益を得られる仕掛けをあえてしてみるというのも生活の知恵かも知れません。
これまた猛烈な結果論ではありますが、110円でショートの逆指値を仕込んでおけば、なんとその後3日もしないうちに4.5円近く抜けた勘定になるわけですから、そういう方法も十分ワークすることになるのです。
こういう報道が出た時に信じるにしても、嘘だと断定するにしても個人投資家がとれる行動というのは意外に限られてしまいます。
虚偽の報道であるとして断固として早くからショートを持ち続けるのも、決して素晴らしい戦法とは思えませんし、やはり相場にしっかりついていき、適切なところで利益を確定しておいて反転の動きにまた乗るしかないことを感じさせられます。このあたりも為替相場の難しさのひとつといえそうですね。
（この記事を書いた人：今市太郎）
