読み込み中...
3月29日の米国「FRBイエレン議長」の議会での講演は、それまで4月利上げの可能性も高まっていただけに大きくドル安を引き起こすドライバーとして機能することになりました。
この講演後、新興国等のリスク資産の価格が上昇したことを受けて、新債券王の異名をもつダブルラインキャピタルのCEOである「ジェフリー・ガンドラック」が新興国債券を売却しその保有比率を下げたことを発表し、独特の相場視点を展開して話題になりはじめています。
ポジショントークも多いものの相場の動きを次々当てるガンドラック
「ジェフリー・ガンドラック」が市場で一目をおかれるようになったのは債券市場で大胆な予測を展開し、ほぼその予想どおりに市場が動くようになったからです。
もともと債券王と呼ばれた「ビル・グロス」が相場の動きを当てながらも利益を獲得することには結びつかなかったのに対し、「ガンドラック」はしっかりと自らの利益も獲得したみせところが大きく評価されるようになっているのです。
ただし、彼の発言は「ポジショントーク」が多く、ころころ変わることが多いのにも注意が必要ですが、自らのディールが絡んでいる話に関してはかなり相場を当てる存在として注目されているわけです。
特に2015年に入ってからは悉くその読みが当たっており、もっとも相場を当てる名人としても有名な存在になりつあり、彼の発言で相場が動くきっかけにもなっているのです。
”とにかく「イエレン議長」は驚くほど「ハト派」的発言を連発しており、市場の先行きに対する予測が全く見通せていない印象を受けた。”
またこの結果として、米ドルはさらに弱くなると断言しており、ドル安圧力はさらに高まったと解説しています。しかもこのタイミングはリスク資産を売る好機でもあるとして売却を強く勧めるコメントを出しているのです。
また「原油価格」は45ドル以上の上昇が見込めないとしており、実際に直近の「原油価格」は増産の阻止がうまく手切る見通しが立たないことからまたしても下落傾向にあり、ほぼ「ガンドラック」の読みどおりになりつつあります。
「ガンドラック」は「S&P500」が長期に停滞すること警告しており、米国の利上げが市場に大きな影響をい与えはじめていることについて再三警鐘をならす存在となっていますが、リスク資産売却の好機という発言はやはり先行きに対する不安を高めるものとなっています。
FRBは株価を見ながら政策判断をしている？
最近ファンド勢の中で多く聞かれる意見が、「FRB」は米国の株式相場を見ながら政策判断をしているのではないかという話です。
確かに「FRB」にとっては株価が大幅に下落することが最大の懸念事項となっていることは間違いなく、株価の大幅下落タイミングには利上げを行うことはもはや不可能になってきていることは厳然たる事実です。
本来ならば政策決定の結果が株式相場に反映されるもののはずですが、今の「FRB」はまさに株式市場次第で政策を決めているように見えるというのは確かにうなずける話であり、まんざら嘘でもないものといえます。
とにかく市場は「FRB」の利上げに絡む動きに大きく反応しやすくなっており、リスクオン・オフの動きもまさにそれと連動したものになりつつあります。
「FOMC」メンバーが交互に登場しては妙なバランスをとった発言を繰り返すのは実に投資家にとっては迷惑な話ですが、それでドル円やユーロドルが大きく動くわけですから無視するわけにもいかない状況であり、今年一杯は「FOMC」の度に利上げタイミングの事で一喜一憂する相場が続きそうです。
しかしその中にあっても「ガンドラック」が警告するように相場に好ましくない状況が示現する可能性は確かに捨てきれず、一段と難しい時期にさしかかってきていることがわかります。
（この記事を書いた人：今市太郎）
