3月末の株式相場が終了し日経平均は前日よりさらに下落し1万6758円というところに落着し、為替も115円方向を探るどころか112円台前半をうろうろするといったかなりお寒い結果となりました。
「GPIF」と三共済の損失を少しでも取り繕うためにお化粧買いがでると思われた日経平均ですが、1万7000円にも到達できずに年度末を迎えることとなり、新年度の相場にも暗い影を落とした相場展開となってしまいました。
実際年度末最終週に入ってからも「GPIF」とみられる「PKO」軍団はしきりにドレッシング買いとドル円の買いを行っていましたが、30日、31日と相場を見ていますとまったくとりつく島もなく下落に甘んじる結果となってしまっています。
世界的に米国の利上げ時期後退観測から株価は先進国、新興国を問わず上げていますが、なぜか日本株、とくに日経平均はまったくいいところ無しで年度末を終える形になってしまっています。
日経平均の上昇阻害要因はやはり外国人売りか
東証が発表している外国人投資家の売り越し額の総額は1月からの総計で4兆8900億円を超えており、その規模は「リーマンショック」直後に迫る勢いとなっていることがわかります。
この中にはSWF・中東をはじめとするソブリンウエルスファンドの売りも混じっていますので、「原油価格」の下落に大きく起因していることがわかりますが、直近で「WTI」原油先物が40ドルに戻しても外国人の日本株売りは止んでおらず、その規模はかなり大きくなってきていることがわかります。
ドル円の動きのすべては日経平均と連動しているわけではありませんが、2013年からの「アベノミクス」で株か買われてヘッジでドル円も買い進まれるという構図はもはや国内の株式市場には存在しないことを改めて痛感させられる市場状況となっています。
新年度ドル円は再度下落方向か
いよいよ新年度ということになりますが、4月後半からは通常でも株価が弱含む時期にさしかかってきますからドル円に関しては日経平均に上昇によるサポートはほとんど得られないことが予想されます。
また4月の「FOMC」で利上げが再度先送りされればこちらもドル円を上昇させる支援材料とはなりにくく、5月に向けてドル円は本格的に100円方向に下落するシナリオを考えておく必要がでてきているようです。
もちろん伊勢志摩サミットに向けて財政出動の話がでたり、消費税上げが見送られるといったプラスの要素があることは事実ですが、現在の外人の株売りを見ていますと果たしてこうしたものがどれだけ材料視されるかには大きな疑問が残り、株価上昇でドル円も上昇という構図は考えにくくなってきているといえます。
とくにこの年度末局面で114.89円レベルのダブルボトム形成の重要なポイントを1回も試しにいくことすらなかったのはかなり相場の厳しさを物語っており、115円から上はさらに戻りが難しくなっていることを感じさせています。
現状のドル円相場は114円方向に抜けるか、112円方向を下抜けるかが次の相場状況を占う重要なポイントとなってきていますが、114円を短期間に上抜けすることがなければ確実に下方向に動くことを想定しておく必要がありそうです。
したがって一時的に上昇する局面があったとしても常に戻り売りを意識することが利益につながりそうです。3月最終週に向けてドル円がかなり戻りを試す動きにでたことからセンチメントが変わったのではないかと感じられた方も多かったと思いますが、「イエレン」議会講演でその流れは再度打ち消された格好となっており、リスクは下方向に高まりつつあります。
個人的には115円台の手前までは3月末に戻ると思っておりましたが、相場はそこまで甘くないようで、厳しい年度末となってしまいました。
ここ3ヶ月の相場の動きを振り返ってみますと、確かに下方向を意識しておけばかなり利益がとれたことがはっきりとわかる動きになっています。
(この記事を書いた人:今市太郎)