逆に株は上昇し、逆相関関係にある原油相場も大きく戻り、「コモディティ」も堅調さを取り戻してきた相場状況ですが、ここへ来て米国の地区連銀総裁が4月利上げを口にするようになり、またしても微妙な軌道修正をバランス取りが始まっているように見えます。
一体この狙いはどこにあるのでしょうか?そのあたりを今回はまとめてみました。
ブラード・セントルイス連銀総裁の発言に市場は注目
今週ブルームバーグTVやニューヨークの講演など連日市場にその姿を現すこととなったブラード・セントルイス連銀総裁は、今年の「FOMC」の投票権を持つ人物です。
ブラード総裁は、「3月の経済予測での比較的小幅な下方修正は、景気動向が予測通りに展開した場合に次回利上げがはるか遠くではないことを示唆している」と述べて、4月の利上げを否定しなかったことから再度ドルが強含む展開をサポートする形となっています。
ブラード総裁は前日の朝に行われたブルームバーグのインタビューでも、
「雇用統計では力強い内容があらためて示され、労働市場は改善しつつあると見受けられる。4月の利上げを支持する論拠といえそうだ」と述べており、3月の「FOMC」では納得して行動を起こすだけの十分なデータがそろっていなかった可能性があると指摘しています。
また、毎回「FOMC」のたびに参加者が投票して公開されているドットチャートについてもくだらないもので、今回投票するのをやめようかと思ったなどとかなり強烈に批判し、あらためてこのドットチャートが意味を持たないことを「FOMC」メンバーとして自ら認める形となってしまっています。
ただ、このブラード総裁は利上げを主張していますが、4月の「FOMC」で利上げを提案するかどうかは決定していないとも発言しており、かなり微妙にバランスを取りながら常に利上げの可能性がなくなっていないことも浮上させ、継続しようとしている意図が見られます。
信任を失わない努力をしようとするFed
ブラード総裁は見通しやデータに変化がない場合にもかかわらず、計画通りに行動を遂行しないのは金融政策当局としての信用を損なう恐れがあるとも述べており、3月の「FOMC」で利上げ回数が明確に後退したかのような印象を市場に与えたことについて非常に大きな懸念を明らかにしています。
こうした同総裁の発言を受けて、逆に市場は今年2回の利上げは最低ラインといった見方をするようになってきており「G20」にあったとされるドル安合意の報道なども支えでドルが下落した方向に急に歯止めがかかりはじめています。
まあ、あくまでバランスをとるための発言でしょうし、テクニカルチャート的にこうした「要人発言」がトレンドに影響を与えているとはいえませんが、4月に向けて緩やかなゆり戻しも想定しておく必要がありそうです。
果たして市場はどこまでこうした内容を意識するかが問題
ドル円相場はイースターにさしかかって久々に113円を回復していますが、為替相場次第といわれた日経平均は必ずしも連動して上昇する過程には入っておらず、例年とは異なる低調な展開が継続中です。
国内独自の「PKO」相場も事前予想ほどうまく値を上げることに成功していないことは明らかです。
ドル安の基調が4月になっても大きく変わらないとすれば、依然ドル円は戻り売りを視野に入れた相場を考える必要がありそうですし、ユーロドルも逆に戻りを試す動きに注意が必要となります。
(この記事を書いた人:今市太郎)