日本をはじめとする先進国の金利がマイナスになっていることから考えれば、夢のような利息がもらえることになりますから、当然「スワップ狙い」で稼いでみたくなります。
しかし、これだけ先進国で「デフレ」懸念が進行している中にあって逆に「インフレ」懸念にさらされているということは、かなり特別な事情を抱えていることは間違いなく、中長期的にランド円を買って安心とまではいかない状況になってきています。
今回はこの南アフリカランド円についてクローズアップしてみることにします。
南アランドは代表的資源国通貨
南アフリカ共和国は資源国として世界意的に認識されており、南アフリカランドの相場も、資源相場に大きく左右される傾向がきわめて強かったことから「原油価格」の下落をはじめとしてその他の「コモディティ」の下落に大きな影響をうけてきました。
特にかつては金の産出量世界一であったことから、金の価格が南アフリカランドに与える影響は大きくなっているのが特徴です。
またレアメタルも豊富に埋蔵されている事から中国等の景気減速によってレアメタルの需要が減ると、南アフリカランドにも多大な影響を与えることになる、なかなか難しい通貨となっているのです。
独自のインフレ要因も満載
直近の南アフリカは干ばつの影響で食糧不足からの値段暴騰が深刻化しており「インフレ」率の高さは景気の好調を示すものではないのが大きな問題となっています。したがって他の通貨利上げを視野に入れた先進国とは異なり、経済成長の見通しはむしろ悪化しています。
ただ食料価格の高騰の一因がランド安による輸入物価の上昇にあることからも金利の引き上げによりそれを防衛せざるを得ない状況で、この利上げはかなり厳しい状況下に立たされていることを示唆しているといえます。
すでに「ムーディーズ」は3月9日になんらの格付けを下げる見込みであることを公表しており、カントリーリスクはかなり高くなっていることがわかります。
それだけに「ボラティリティ」は大きくなっており、対円でも1月11日に大きく値を下げたあとも何度も7.000を割る動きをみせてきており、金利が高いから即買いとはなかなかいえない相場状況が続いていることがわかります。
長期的に保有すれば利息以上のリスクが増大
足元では「WTI」の原油先物価格が40ドル台に回帰しており、鉄鉱石価格も中国の公共投資期待から大幅上昇するなど、かなり「コモディティ価格」が改善していることから短期的売買については比較的リスクは減少してきているといえます。
しかし「スワップ狙い」の通貨はできるだけ長く保有したいところですから、この利上げタイミングに乗って買い向かい長期保有して本当に大丈夫かどうかはまだ判らないのが正直なところです。
経済状況を含めたネガティブなファクターは明らかに金利を超えた通貨レベルの大幅下落を引き起こす可能性が高く、正直なところ金利だけを狙って買うのはレバレッジを落としてもあまりお勧めできない状況にあります。
また対円で購入した場合、大きく円高にふれれば相当なダメージを受けることになりますから、暴落直後などといった特別なタイミングを狙わないかぎり適当なレベル感で南アランドを購入するのは、今のところまだリスクがかなり高いことをしっかり認識すべきです。
短期売買の場合でもこうした通貨ペアの場合はかなりスプレッドが広がっていますからスキャルピングのような売買はしにくく、引き続き取引の難しさは継続している状況です。
「資源国通貨」であれば、金利はかなり低くなりますが、豪ドル米ドルあたりを売買するほうが相当安全でわかりやすいといえます。今ランド円にリスクを冒してお金を投入するのが本当に効率的かどうかはよく考えてからというのが直近での結論です。
(この記事を書いた人:今市太郎)