17日の未明、金利据え置きで一旦は沈静化したかに見えた為替相場ですが、ドルが全面的に売られる展開となり、ドル円はロンドンタイムに入ってからまたしても111円割れとなり、前回底値をさらに下回り「110.659円」まで売り込まれる結果となっています。
ただし下落から程なくして111.990円まで一気に戻すという荒っぽい動きも見られ、相場はかなり難しい動きに入ってきていることがわかります。
とにかく17日の朝9時すぎには113円に迫る位置にあったドル円があれよあれよと下落して110円台中盤まで落ち、そこから1円30銭以上30分ほどで戻していますから迂闊なレベル感で買ったり売ったりしたトレーダーは、みな切らされるというなかなか儲かりにくい動きにをしていることが見てとれます。
3つの中央銀行の政策決定後は一貫してドル安
「中央銀行」の政策決定によってトレンドが変わったかどうかを見極めるためには、少なくとも2営業日程度は様子を見ないことにはよくわからないと言われます。
少なくとも投機筋はこの3つの政策決定を受けて完全にドル売りを加速させており、とくにクロス円での円高が明確になってきていることから、ドル円は極端に売り込まれるようになっているようです。
「IMM」のポジションをみてもわかりますが、投機筋の円買いポジションは「アベノミクス」が始まって以来最大のボリュームになろうとしていますから、今回のような下落である程度減少するのか、さらに積み上がるのかがひとつの注目ポイントになりそうです。
新年度を待たずに105円をつける可能性も
年度末、国内ではなんとかして株も為替も無理やり引き上げようとする動きがでてきていますが、海外からの投資資金の円転、つまりレパトリエーションが22日の週から増加することも考えられ、そうした動きに乗じて投機筋がさらに売りを加速させる可能性も捨てきれなくなってきています。
「GPIF」は112円台前半に結構まとまった買いを入れているといわれていましたが、蓋を開いて見れば前回安値の下にあったストップロスを思い切りつけて110円台中盤にまで下落していますから、105円は120円に戻るよりもはるかに目先のポイントになろうとしています。
急激な相場変動に対応しきれないFX業者にも要注意
昨日の相場で話題になったのが、楽天証券FXのワイドスプレッドによるとんでもない価格提示です。
昨晩の110円台に向けての下落で楽天証券では一瞬スプレッドが「1503.9pips」にまで広がり、103円台をつけてしまうという驚くべきことがおきています。(楽天証券の通常ドル円スプレッドは0.3pips)
戻りでも同様の動きがでて118円台をつけたようですが、システムトラブルなのか?ほかの原因なのかはわかりませんが、今後同社がこの損失にどう向き合うのかについても関心が高まるところです。
インターバンクと直接つなぐ「NDD方式」がバックグラウンドにあるとしても最適化を図って価格を提示する以上、ここまで瞬間的にワイドスプレッドにはならないはずなのですが、これが実際に起きているところが気になります。
「ボラティリティ」の高い相場時期には、事故を起こす業者を使わないというのは基本です。
どこが事故を起こすかわからないというが正直なところですが、上場企業で社会的責任の大きなところを選択して利用するといったユーザー側の防御策が必要になりそうです。
ドル円は当面しっかり戻り売りが基本
110円台を下抜けて、時期は別としてもドル円は下落リスクが一段と高まってきています。
ドルインデックスでも95を割る形になっていますので、あらゆる通貨に対してドルの下落は明白です。 下値を逆張りするよりは上値で戻り売りをして、万が一の突き上げのときには買いなおすといった丁寧な売買が当面必要になりそうです。
とくに大きな下落局面では猛烈なショートカバーも起こりやすくなりますし、ロンドン勢が仕掛けるとニューヨーク勢が逆方向に買い上げてストップロスハンティングを行うこともありますので、相当慎重に売買することが必要です。
相場を見れないときの指値、逆指値での売買を行うのであれば、かなり潤沢に資金を投入しておきませんと、後からみれば大して相場が変わっていないのに、なぜかすべてストップロスがついていたといった笑うに笑えない状況に直面することになりかねません。
しっかりと目視できる時間帯に取引することも重要になりそうです。
(この記事を書いた人:今市太郎)