中国での公共投資による需要予測などから鉄鉱石価格が暴騰したり、「原油価格」が30ドル割れの最悪の状況からかなり戻したことにより、ここのところかなり高い動きを見せた「資源国通貨」ですが、15日のNY市場ではいまひとつ安定感がなくまた下落するといった微妙な動きが続いています。
3月後半から4月にかけて、こうした通貨ペア売買に妙味がではじめているというわけです。
WTI先物40ドル超が原油価格安定化には必要
2月に入ってから「OPEC」と非OPEC加盟国との原油協定に関してはロシアがかなり主導的な役割を果たすようになっております。
14日もイランのザンギャネ石油相と会談したロシアのノバク・エネルギー相が、増産凍結合意を目指す石油輸出国機構(OPEC)加盟国と非加盟国との間の会合について、イラン不参加のまま4月にドーハで開催される公算が大きいと述べて注目を集めています。
ソビエト連邦の崩壊は「原油価格」の下落が原因であったともされていますから、ロシアの原油に対する見通しや政治的な動きは非常に注目されるところですが、先物が40ドルを超えてくれば一定の安定が図られることになり、「資源国通貨」もドルに対して明確な戻りを示現することが期待できそうです。
また3月の「FOMC」での利上げが正式に見送られれば6月まではドル安・新興国株高・コモディティ高というアンワインド相場の流れが明確に示現することになりそうです。(3/17 利上げ見送りが決定)
50ドルを超えることはないと釘をさすプーチン大統領
ただし、原油先物価格は決して青天井ではないようで、ロシアのプーチン大統領は「50ドルを越えることは決してない」と厳しく釘をさしています。
またゴールドマンサックスは直近の見通しで、底値を打ったと思われる「原油価格」の過剰供給が和らぐのを機に、2017年にかけて1バレル52ドル前後まで回復すると発表しています。
したがって、40ドルから50ドルのレンジをみながら「資源国通貨」を売買していくことが、なんとかワークしそうで、特にドル安が明確になってくるとこうした通貨の買いが面白くなりそうです。
ポイントはドルストレートで勝負すること
豪ドル円と豪ドル/米ドルのチャートを見ると直近ではどちらもたいして変わらないように見えますが、今後円高になる可能性がでてくるとなると「資源国通貨」も米ドルとの組み合わせが上昇しやすく、逆に円との組み合わせはあまり妙味がなくなることも予想されます。
ここで対象となるのは豪ドル、カナダドルですが、NZドルはまたしても乳価に左右されていますので、明確な資源中心の通貨を選ぶことが重要になりそうです。
また豪ドルは「アノマリー」的に夏場、とくに8月は下落しがちですから、あくまで4月から6月ぐらいをメインに考えておくことがよささそうです。
注意が必要なのは依然として中国の動向
鉄鋼石価格の上昇は中国の財政支出観測に大きく起因していますが、依然として中国は不安定な状況をかかえており、万が一「人民元の切り下げ」などが突如として起きれば「資源国通貨」がもっとも大きなダメージを受けることは間違いありません。
したがって、しっかりストップロスを置いて売買することはお約束にする必要があります。
ドル円の動きがぱっとしないだけに期間限定でこうした「資源国通貨」にフォーカスしてみる売買方法というのもお勧めです。ドル円が大して動かない状況を考えますと、こうした別の通貨ペアで稼げるときに稼いでおくというのもまた重要な選択です。
(この記事を書いた人:今市太郎)