ユーロドル、ドル円ともに大きな変動から一夜明けた為替市場ですが、ユーロドルは高値から徐々に値をさげ、何事もなかったかのような動きで、特別トレンドがでているようにも見えないような相場展開を続けています。
ユーロドルはちょうど直前の下げの3倍返しの上昇
10日のユーロドルの動きを改めてチャートで確認してみますと、相場が俄かに動きはじめたのが10日の東京タイム以降です。
1.1を割れ始め、発表直後には1.08217まで下落していますが、前回のコラムでも書きましたように10時40分から突然利益確定がではじめ、今度は大きく戻りを試すこととなったのはご存知のとおりです。
半沢直樹もブームになってからすっかり話題にならなくなりましたが、彼の口癖の「倍返し」どころか「3倍返し」になって相場が戻ったのがこの日の動きということになりました。
上昇をチャートでご覧になっていた方は皆さん感じられたと思いますが、その上昇スピードは異常に早く、しかも執拗に、ぐいぐい買い上がる動きを見せていたのが印象的な相場でした。
これはアルゴリズムがかなり主導的に動くために、どうしても上下ともに「オーバーシュート」気味に相場が走ることになってしまうわけです。
特に最近の「中央銀行」の政策決定会合では、数値の発表よりも総裁などの責任者の言葉尻をつかまえて相場が反応することになります。
一部始終を掌握できる環境でディールを行っていない限り、急に買い転換が始まってもそれが大きな流れになるのかどうかの判断がつかないのが現実の問題になってきています。
特にこうした政策決定会合後やNFPなどの場合には相場が上下に振れながら価格を形成していくことになるため、なんらかの理由で動きが反転したかどうかを見極めるのはかなり難しいです。
一部の利益はとれたとしても結局投げや踏みに巻き込まれる可能性が高く、収支で考えたときに後から見たチャートの動き分をしっかり利益として確保できたかどうかはかなり難しいといえます。
確かにうまくとれればこれだけ変動する相場が日常的には限られますので、いいチャンスではありますが、毎回参戦してみたときにどのぐらいの勝率になっているのかは、あらためてよくチェックしてみる必要がありそうです。
あえてこうしたイベントに参戦しないというのもひとつの考え方
このような荒れ相場に絶対的な自信をお持ちのトレーダーは構いませんが、これまで参戦してみてもうまく儲けが出ずに損切りを余儀無くされているという方の場合には、あえてイベント当日には参加する必要はありません。
前段階の下げの部分だけ拾っておくとか、結果大きく動いて上げなり下げなりが確定したところで戻りの部分を少しだけいただくといった手堅い参加方法を考えるのも一考ではないかと思います。
ドル円でも状況は同じ
「ECB理事会」を受けてのドル円は114.40円レベルまで買い上がりましたが、ここで止まるのか突き抜けるのかがポイントとなっていましたので、リスクをとる向きはストップロスを置いて戻り売りを仕込んでいたものと思われます。
ただ、このドル円でも想定外だったのは114円台から112.60円レベルまで下落したことで、ユーロ円の影響を受けたとはいえ、なぜ「ECB」の決定でドル円がここまで売り込まれることになるのかは、正直なかなか理解できないのが実情です。
これも事後の発想ではありますが、11日の朝にもドル円は112円台をつけていますので、ここで拾って午後まで保有し続ければ1円近く抜けたわけで、10日必死にがんばって売り買いをするよりもかなり落ち着いて利益を確保することができたことがわかります。
ここで重要はのは、ユーロドルもドル円も別に「ECB」の政策決定で特別なトレンドが出たわけではないということです。つまり、残念ながらこの種のイベントは既に一過性のものに過ぎず相場の流れを変えるものはなっていないことは明らかです。
したがって、一旦大きな動きを終えて翌日の相場の戻りの部分に参戦して、あまり大きな利益ではなくても手堅くPIPSを確保するという比較的地味な手法も安全性の面から言えば妙味のあるトレード手法だといえそうです。
前日の大相場の上下の価格もわかっている中でのトレードですから、相場の手がかりとしては断然そうしたやり方のほうが安心できます。
(この記事を書いた人:今市太郎)