上限金利の限界貸出金利も0.3%から0.25%に引き下げ、下限金利の中銀預金金利はマイナス0.3%から、市場予想通りマイナス0.4%に引き下げとなり出来る事は全てやってきた形になりました。
また資産買い入れ規模も月間600億ユーロから800億ユーロに拡大させることとし、市場予測を上回る規模を提示することになっています。
当然市場は「ポジティブサプライズ」でユーロドルは、この発表直後から売られる形となり1.08の前半レベルまで売り込まれることとなりました。
今回ばかりは12月の大幅な買戻しとは異なる動きになったと思われたのですが、その後「ドラギ総裁」の記者会見が始まってすぐに、またしても大きく買い戻しがかかることとなってしまったのです。
ドラギ発言で突然相場は逆走
「ドラギ総裁」の記者会見が始まって10分経たないうちに、
「本日の観点及び我々の措置が成長やインフレにもたらす支援を勘案すると、一段の金利引き下げが必要になるとは思わない」
とし、追加利下げの公算は小さいと「ドラギ総裁」が記者の質問に答えた途端、追加緩和策の発表後に売られていたユーロが急反発、対ドルEURで「1.11ドル」の水準を突破し「LONDON FIX」後の日本時間午前2時すぎにはとうとう「1.12ドル」まで値を戻す展開となってしまいました。
「1.08127」から「1.12176」までの戻しですから、今回もざっと「400pips程」跳ね上がる形となり、結果としては前回並みの買い上がりを示現することとなってしまいました。
まあ、見解を述べただけなので問題になるべきことではないのでしょうが、相場的には一体何なのかを目を疑いたくなるような買い上がり相場となってしまいました。
特に最初の数分は暴力的な上昇であり、アルゴリズムも加勢したのかもしれませんが、とにかくユーロを売買していたトレーダーはまたしても驚かされる展開になってしまいました。
ユーロドルは今回事前に一定の動きをほとんど見せず、10日の東京タイムからかなり調整が進んだように見えましたが、結果はまたしても12月に近い状況となってしまい、うんざりさせられたトレーダーが非常に多かったことと思われます。
割りを食ったのはドル円
このユーロドルの動きはドル円にも波及することとなりました。
「ECB」の記者会見が始まった直後、ユーロ売りドル買いに連動して大きく上昇したドル円はユーロの買戻しと時を同じくして大きく下げることとなり、こちらもなんと午前3時前には「112.600円」レベルまで値を戻すという猛烈な下落を示現することとなりました。
しかも、ダブルボトムの形状を作り出しながら2月16日つけた「114.89円」レベルは今回も到達させることができず「114.500円」から上には相当な売りが並んでいることを改めて明確にしています。
株価も当座は上昇した欧州圏のFTSE100 もNYダウも結局マイナスに沈み込んでしまい、今回の緩和が絶大な効果を発揮したとは言いがたい状況になってしまっています。
前日ショートカバーのあと明け方5時にRBNZの政策決定会合で利下げになったのも余分でしたが、一体113円80銭近くまで買い上がった相場は何だったのかと恨めしい流れになってしまいました。
これは、12月にも経験した光景ですし、もちろん当座の相場の動きが緩和措置の成否のすべてを握っているわけではありませんが、もはや「中央銀行」の「量的金融緩和」は限界に来ているように見えて仕方ない動きになってしまっています。
恐らく、最初に動いた方向についていき、結構やられてしまった個人投資家の方も今回は多かったのではないかと思いますが、非常にやりにくい相場の動きになったことだけは間違いなく、15日の「日銀政策決定会合」後の動きも思いやられます。
(この記事を書いた人:今市太郎)