先進各国「中央銀行」の政策決定会合を前に為替は、その動きが停滞してしまってほとんど動かない状況ですが、その中でもドル円は112円台で膠着状態を継続しています。(3/10執筆時点)
こうなるとテクニカルチャートで、何かきっかけをつかみたくなるものですが、長い足のチャートで見ますと、ドル円は益々状況がよろしくないことが見えてきます。
短時間のチャートでは上方向に抜けそうな気がしてならないものですが、月足、週足といったチャートを丹念に見てみますと、ドル円はまだまだ上昇方向にないことがはっきりと示唆されています。
とにかくこのチャートに変化が現れないかぎりは、迂闊なポジションメイクをしないほうがいい状況にあるのです。
週足のボリンジャーバンドでは-2σの外側を推移
このコラムでも毎回ご紹介しています、ドル円の20ヶ月移動平均は、多くの「ヘッジファンド」などが指標をしてみていることから、このラインの下側に明確にドル円が割り込んでからドル売り円買いの投機筋のドル売り、円買いポジションが急増しています。
さらに週足で見た場合ドル円のボリンジャーバンドは60週移平均の下にあり、しかもなんと-2σより外側で推移していることがわかります。
チャートの本数を減らしてさらによくみてみますと、115円を割れたあたりから継続して-2σの外側で推移し続けているというわけです。
ボリンジャーバンドによる表示の性格上-2σの外側に出てしまったドル円はやがてどこかでこの-2σの内側に戻ることが考えられますが、なんといっても週足であるため戻るまでの時間は5分足や1時間足とはわけが違うため、下手をすれば桜が咲き終わるまで戻らない可能性もでてきているのです。
現在の下落状況には様々な要因が考えられますが、クロス円が円高に振れていることに加え、昨年までの貿易赤字による実需でのドル買いが著しく減っていることに加え、「GPIF」などの「PKO」の買いも減少したことなど、いくつもの要因が今の相場状況を形成しているといえます。
とにかく上値を追う動きになるためには、まずこの週足が-2σの内側に入らないことにはどうにもならないことがわかります。ざっと概観したところでは115円を明確に抜けてそれ以上に入らない限りは、依然として戻り売りが間違いない売買手法になってしまっているのです。
下値も大きく111円を割り込んでいく勢いも感じられない微妙な雰囲気
ただ、ドル円を戻り売りされている投資家の方ならお分かりのとおり、非常に緩やかに下値を試しつつある状況であり、112円もいきなり抜けていこうとするような力強さも感じられないのが現状です。
「中央銀行」の政策決定会合を前にして円が注目通貨からはずれていることもこうした動きを形成しているものと思われますが、「FOMC」を超えるまでは当分こうした我慢比べの相場が続くことを覚悟しなくてはならなくなりそうです。
ただ、本来3月末ドル円は円転需要が多くなっても一定の上昇を続けることが多いだけに、今年の相場の動きはかなりいつもと異なる雰囲気が感じられます。
チャートで確認できる動きだけついていくことが重要
こうした半ば膠着感の強い相場展開ではレベル感から思わず買い向かってみるといった行動を起こしやすくなりますが、とにかくチャートで見てその動きが確認できない限りは迂闊に売買をしないことが大切になりそうです。
あくまでも相場の動きを忠実にとらえて、それについていく以外解決策はなさそうです。
特にこれまでそれなりに毎日利益をあげられてきたトレーダーの方になりますと、膠着状態ではとかくいつもと違う余分なことに手をだしてしまいがちです。
普段と異なるトレードをした時に限って大きな損失を食らうことがありますので、くれぐれもイラつかずに平常心で相場に向きあっていただきたいところです。
(この記事を書いた人:今市太郎)