先日、いよいよ現行政権主導で「PKO」による株上げ相場が年度末に向けて展開されることになるのではないかという記事を書きました。
これまで「アベノミクス」が始まってからは比較的、日経平均はNYダウに寄り添うような動きを見せてきましたが、年明けからその様相が大きく変化しつつあることがチャートから判ってきます。
年明けからはNYダウも日経平均も大きく売り込まれたのは間違いありませんが、その後NYダウは回復し、ダブルボトムをつけた形で50日移動平均を上抜けて上昇しました。
しかし、日経平均はなんとか25日移動平均は超えたものの、50日移動平均がレジスタンスラインになるような動きを見せており、すんなり1万7000円を超えて上昇せずにいることがわかります。
※ダウ平均
※日経平均
外国人投資家は年明け以降現物株を大幅に売りこし
東証が発表している「外国人投資家」の売買動向の推移を見ますと、あらためて株の相場がどのように動いてきたのかを理解することができます。
昨年11月末から12月始めまで株価は上昇過程にありましたが、ご覧のように12月には言ってからは外国人投資家が積極的に先物を売り始め、日銀の補完措置が発表されてからは大きく売り込まれて結局年を終えることとなりました。
そして年明け、今度は現物株が大きく売り込まれて2月末まで推移することになります。
こちらは投機筋よりもSWF・ソブリンウエルスファンドの売りが大きかったようですが、年が明けてからの先物の売り再開の動向を見ていますと投機筋が「QE」を実施している国をめがけて積極的に株を売ってきていることがわかります。
これが足元では一旦止んでいる状況にある訳ですが、政権が様々な思惑から年度末に向けて株価の持ち直しに動いた場合、果たして外国投資家がこれまでと同じように、その動きに追随してくることになるのか、上昇を待ち構えて絶好の売り場とばかりに戻り売りを仕掛けるのかが大きな注目となります。
株の下落には連動するのに戻りには明確についていかないドル円
さて、肝心の為替の動きですが、ドル円は年明け大きく下げてなんとか114円台に回復し、年度末に向けて少しは上値を試すものと期待されましたが、8日のNY市場ではほどんと112円台での推移となり一時112.500円すらも割り込む展開となっています。
チャートを見れば一目瞭然のように3月に入ってからも上値を切り下げ、しかも下値も切り下げる展開が続いており、ややもすればさらに下方向を再度試しに行きそうな展開になってきています。
「GPIF」の損失補てんや、参議院選挙を睨んだ株価対策、消費増税の予定どおりの実施など、様々な思惑から株価だけはなんとか年度末に戻したいと思っている輩が多いことはわかります。
しかし、日本株を積極的に買い進めようとする外国人がほとんどいなく、売りが一旦止まっただけの状態で再上昇がは刈られたとしても、またしても売り再開にならないのかどうかが気になるところです。
そして本題のドル円について言えば、11日のメジャーSQ以降株上げが始まってもまともに株価についていかないのであれば、年度末に向けて戻り売りを考える必要もでてきているようです。
恐らく「GPIF」は外債の評価損を免れるためにドル円の上昇をも目論んでいるはずですが、今のドル円相場の動きを見る限り株価の上昇についていく気配が感じられず、今のままでは3月に115円台に戻るのもかなり厳しい可能性がでてきています。
為替アナリストの一部は4月に向けてドル円再上昇を口にする人もいますが、チャートを見る限りドル円はドル高方向にはむかっていないことがわかり、人為的に持ち上げることがあったとしてもいい売り場をつくるだけになってしまう恐れもあるのです。
ここからの相場は、思い込みで売買せずにチャートが本当に相場状況を想定した通りに示しているのかどうかを常に見ながら、エントリーすることが重要になりそうです。
日経平均のほうが否応無く人為的上昇がは刈られることになるのでしょうが、安易にドル円も上昇すると見立ててしまうと大失敗を食らう可能性がでてきています。
(この記事を書いた人:今市太郎)