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この年金積立金管理運用独立行政法人によれば、昨年10月～12月期の期間収益は4兆7302千億円、収益率+3.56％となったのまではよかったのですが、その後も買い進んだ分が完全に逆ザヤに陥っているのです。
アセットアロケーションの6割をリスクの高い商品に振り向けた結果、株の下落と為替の下落によるダブルパンチでこのままでは多額の損失を計上することになる見込みとなってしまっています。
三菱UFJモルガンスタンレー証券が「GPIF」のデータをもとに独自に試算したデータによりますと、2月末試算の段階で1～3月期はほぼ10兆円の損失を計上するほど痛んでいることが見えてきています。
しかも昨年10月時点で三共済が揃って運用ポートフォーリオをそろえていますから、年金全体ではもっと大きな損失が出る可能性が高まっているのです。
今年のGPIFの年度末決算公表は7月頭というタイミングの悪さ
果たしてこれが年度末に締めていくらになるのかが非常に危惧されるところですが、安倍政権にとって大変よろしくないのが今年はこの発表が7月頭にずれ込む見込みであることです。
7月といえばちょうど「参議院選挙」の直前であり、野党からこの内容をめぐって責任問題を糾弾されることはほぼ間違いなく、このまま株価を放置しておくわけには絶対に行かなくなっているのが今の政権が直面する状況となっています。
自分の任期中に憲法改正を行うことを既に表明している安倍政権にとっては改憲のためにも参議院選挙に勝つ必要があり、自ずと株価をここ半月で押し上げ、来期以降も一定のレベルに吊り上げることが急務になってきているというわけです。
最低でも1万8000円を回復して年度末を迎えることが必要
ことは「GPIF」の日本株買い付けの平均価格にもよりますが、どうやら1万8000円以上を死守しないことには「GPIF」の含み損を減少させることにならないようです。
恐らくこの時期には財政出動に関してもなんらかの見通しが発表になるものと考えられます。
ただし、日銀は安倍政権が消費税上げを断念しないように最後の追加緩和バズーカを温存しておきたいはずですから、15日の「日銀政策決定会合」では緩和を見送る可能性が高くなってきています。
つまり3月は政権主導の「PKO」相場で乗り切る公算が高いというわけです。
足を引っ張るのはドル円の動き
3月に入ってからはドル円はまたしても上値が重い動きになっており、実需の売りも日に日にそのボリュームが増える状況で、すんなり114円台を通過できるような雰囲気ではなくなっています。
また「FOMC」を超えたあたりからは輸出勢が日本に資金を戻すレパトリエーションの動きが加速する見込みで、ちょうど時を同じくして年度末に円高が示現する可能性が高まっている状況です。
この株と為替の微妙なバランス時期に果たして「PKO」と財政出動のちらつかせだけで1万8000円以上にこぎつけられるのかどうかが、非常に注目を集めそうな相場状況となってきています。
場合によっては「GPIF」はドル円も買い上げる可能性があり、この株と為替の綱の引き合いでドル円が上方に動くことになるのかが大きなポイントになりそうです。
したがって月後半ドル円の売買をされる場合には、株価の上昇がはじまったときに本当に追随して上昇するのかどうかをしっかり見極めることが重要になります。
相場の自然な流れから行けば、ドル円は日経平均と連動して上がる状況ではないことだけはあらかじめ理解しておくべきです。
（この記事を書いた人：今市太郎）
