「原油価格」がかなり戻してきていることから、年明け以降大きく売り込まれてきた資源国通貨に復調の兆しがでてきています。
豪ドル、カナダドルなどにその傾向がはっきり現れ始めていますが、これは単なるあや戻しなのか本格的な復調なのかを考えて見ます。
豪ドル円は3月に入ってから復調モードを示現
2月の11日、ドル円が建国記念日の休場にあわせて大きく売り込まれた日、豪ドル円も同様に大きく下落することとなりました。
下記のチャートは1時間足の動きですが、2月中82円台中盤まで何度も頭を抑えられてきた豪ドル円は75日移動平均線をまたいでは上下動を繰り返してきましたが、3月に入ってからは完全にこのラインを上抜けて上昇傾向が見られるようになってきています。
WTIの先物価格も30ドル前後をうろついてきたものが、35ドル以上をつけるまでに回復しており北海ブレントは年初以来初めて40ドルを回復するに至っています。
長らく低迷を続けてきた米ドルカナダドルも明らかに復調の兆しで資源国通貨全般に明確な戻しが進んでいることがわかります。
軒並み回復する資源関連株価格
ここで注目されるのは、これまで驚くほど売り込まれてきた資源関連株が急速に回復していることです。BHPビリトン、リオ・ティント、ヴァーレなどの株価が大幅に戻していることからもコモディティ価格にかなり安定感が出てきていることがわかります。
各社もともとの株価にはばらつきがありますので短期間に5割近く戻すといった脅威的な動きをしている株もありますが、総じて堅調に推移しはじめており、こうした状況も資源国通貨の支えとなっていることは間違いないようです。
ただし、世界的な情勢としては特段大きな変化が現れているわけではありませんので、原油価格が下押ししなくなったということだけが唯一の支援材料であり、このまま上昇するのかどうかはもう一拍待ってみる必要もありそうです。
狙い目はFOMC後に到来
今月は16日、日本時間では17日朝3時にFOMCでの利上げの有無が明確になりますが、このタイミングで利上げ延期でドルが売られる形になってきた場合には、エントリーのチャンスが訪れることになりそうです。
この場合常に原油先物価格とにらめっこしながらのポジション保有ということになりそうですが、ドルと原油価格は明らかに逆相関の関係になっていますので、一旦は資源国通貨にまとまったショートカバーがでる可能性があります。
ターゲットとなるのは豪ドル、NZドル、カナダドルなどですが、南アフリカランドについてはもう少し様子を見るのが懸命な対応ではないでしょうか。
できればドルストレートでの売買がお勧め
チャートだけで見ますと豪ドル円も豪ドル米ドルもたいして違わない動きをしていますが、この時期わかりやすさを求めるのであればクロス円よりはドルストレートで売買することがお勧めとなります。
とくにユーロが大きく売り込まれるようなことになりますとユーロ円が円高に動く可能性があり、それに引きずられる形で豪ドル円やNZドル円に影響が出る可能性があります。
資源国通貨自体の復調を存分に享受するのであれば豪ドル米ドル、NZドル米ドルのほうがはるかに判りやすい通貨ペアであるといえます。
最大リスクは中国で何かが起きること
G20,全人代を経て中国がなんらかの財政政策を行うのではないかとった期待も高まっているようですが、今、足元で問題になりつつあるのは若者を中心とした失業率の高まりであり、暴動な反政府的な動きが加速するのではないかとの危惧の念を持つ向きも増えつつあります。
こうした動きは日本国内ではなかなか掌握しにくく問題が大きくなってからその内容がつまびらかになる可能性が高く、ある意味で見えにくいリスクではありますが、一旦何かが起きるとせっかく復調傾向にある資源国通貨もいきなり元に戻る可能性があります。
ですから、しっかり相場にあわせて適切なストップロスを置いて、少しでも利益が確保できる形にしておく必要がありそうです。