いよいよ3月先進国の中央銀行政策決定weekが始まろうとしています。
今回もその緩和レベルによって市場の反応はかなり微妙になることが予想され、単純にユーロ売り、ドル買いとばかりはいえない状況になりつつあります。
今回は「ECB」の緩和内容によって、相場がどう動くのかについて占ってみたいと思います。
問題は緩和レベルの中身
「ECB」は前回1月の会合後に行われた「ドラギ総裁」が会見の席上で、金融市場の混乱や、年初からの中国ショックにみられる新興国の景気減速懸念を受けて、ユーロ圏経済の下振れリスクが強まったとしました。
この事から、3月9日、10日の理事会において「金融政策」スタンスを見なおすとともに、おそらく再検討する必要があると発言とたことから、市場はまたしても緩和を大きく期待する動きとなっています。
今回の緩和の中心とみられる主要の「政策金利」に関しては、現状の+0.05%を維持すると見られますが下限金利である中銀預金金利に関しては現状の「-0.3%から更にマイナス幅を拡大し-0.4%にする」という見方が大勢となっています。
また一部の報道では「一気に-0.5%まで持って行く」という見方も出てきており、このあたりの期待値と結果にギャップが生まれると、相場は大きく振れる可能性がでてきているというわけです。
ユーロドルは上げも下げもありの状況
今回も市場は追加緩和を完全に織り込んでいることから、万が一据え置きになった場合は、ユーロ買いで大きく上昇することが予想されます。
前回のショートカバーでは350PIPSも跳ね上がっていますから、何もしないで据え置きというのはさすがにないとは思いますが、「ECB理事会」の中にはかなり反対意見の参加者も存在することから、まさかという可能性も残されている状態です。
また、引き下げが0.1%ではなく、0.2%の利下げでトータルで-0.5%となった場合は完全なドル買いユーロ売りを加速させることになりそうです。
微妙なのは、大勢の見方通り-0.4%に決定した場合、発表直後に相場が動くことはなく、理事会の発表から1時間後に行われる「ドラギ総裁」の会見での発言に注目が集まることになります。
総裁が席上追加緩和に積極姿勢を見せた場合はユーロ売りとなりそうですが、毎度おなじみのドラギマジックから考えれば、追加緩和を示唆する「口先介入」発言が飛び出す可能性が高いといえそうです。
気をつけなくてならないのは、1月の「ECB理事会」以降かなりユーロドルは下落を見たものの、1.07を割らずにここまで来ているということです。
「ECB理事会」を経て1.07を割り込めばユーロ下落が加速することも考えられますが、この発表をもってしても1.07を割らなかった場合には買いを考える必要もでてきそうです。
ドル円はユーロ円が下落すると引っ張られる可能性
微妙なのはドル円の動きです。ユーロドルの下落でドルが上昇したとしてもユーロ円も大きく下押しすることになれば、結果としてはドル円もユーロ円の影響を受けて円高に動く可能性は高くなります。
市場の関心は完全円からユーロへと移行してきていますので、結果的にたいして動かないことも考えられますが、ドル円は上昇圧力がかなり薄れていますので、ユーロに引きずられれば下落も想定しておく必要がありそうです。
また「ECB」が期待外れの場合には、ユーロが買い戻されますが、ドルが売られることになることからドル円はドルの下落の影響を受けて、またしても下落する可能性が残ります。
どちらに転んでもあまりいい話ではないわけですが、この結果を受けて翌週に「日銀政策決定会合」と「FOMC」へと突入することになりますから、ドル円がどのレベルで週を越すことになるのかにも注目が集まります。
(この記事を書いた人:今市太郎)