大雪の影響で開催が危ぶまれていた米国の1月「FOMC」ですが、予定通り実施され大方の予想どおり利上げはなく、声明文にも世界経済を注視する姿勢を示したものとなりました。
しかしその一方で米国経済については前向きな姿勢を維持しており、依然3月以降の利上げの可能性を色濃く残した内容となっています。
この声明を受けた市場は上にも下にも走ることなくNYタイムを終えることとなり、影響は軽微なまま焦点は「29日の日銀政策決定会合」へと移行してきています。
事前の動きでわかったドルの上値抵抗
ドル円はNYタイムからじりじりとショートカバーを続け、「LONDON FIX」後には118.990円まで戻す展開となりました。
ドル円は市場が大きく売りに傾いていることから「FOMC」前にかなり大きなショートカバーとなりましたが、それでも4時1分にに瞬間119円036銭をつけるまではずっと118円台を継続する動きに終始することなったのです。
つまり119円台というのはよほどのことがないかぎり回復しないかなり厳しいレベルであるということです。よほどのことが29日の「日銀政策決定会合」で行われることになるのかどうか?がいよいよ注目点となってきます。
ドル高と原油安の影響が「一時的」になるとの判断で株式相場は下落
今回の声明では為替には顕著な動きが現れませんでしたが、株式市場はそれまで値を上げながら様子見状態が続いたものの結果NYダウは前日比1.3%下落のマイナス210.72ドルで引ける形となりました。
ドル高と原油安が一時的であるとした「FRB」の見方が明確になったことが嫌気された形となっていますが、利上げが見えてくると株価は明確に下がる姿勢を見せていることがわかります。
1月6日のフィッシャー発言の失敗から年間見通しには触れず
1月6日「CNBC」のインタビューに答えて、Fedの理論的支柱ともいわれ、影の「FRB議長」とも目される、「スタンレー・フィッシャー氏」の「年間4回利上げ意向」が市場の大きな反発を受けた失敗もあり、「FOMC声明文」では今後の利上げペースのことは否定もしないかわりに積極的な意向も示さないままの内容として、市場のコンセンサスを重視した内容にとどめたことも注目されます。
市場の注目はいよいよ日銀へ
「FOMC」をほぼ無風で通過したことにより、いよいよ市場は29日の「日銀政策決定会合」に大きな注目が集まることとなります。
「ダボス会議」では「日銀黒田総裁」がいくつかのメディアのインタビューに英語で答えていますが、日本語における堅苦しい答弁に比べると、若干ライトで妙に前向きなニュアンスがにじみ出ているのが同氏の発言です。
どうもこれを見た欧米の投機筋からは、いよいよやるのではないかといった期待が逆に高まってしまっていることが気になるところです。
「ECB」も「ドラギ総裁」が3月に「QE」の見直しを検討としたことで3月実施期待が高まっていますが、実際のところ足元での欧州の景気はかなり回復してきており、本当にやるのかという疑念も市場には生まれ始めています。
そういう意味では日銀の動向が益々関心事になりつつあり、ここでの動きを誤るとかなり市場は下落する可能性もでてきてしまいます。
ですから、とにかく会見まで注意が必要ですが、何もでなくて、しかも会見で追い討ちをかける発言がでれば前回の上下350PIPSに負けない下落も予想されす。
そのため、あくまで結果を見てからポジションをもつことが安全策となりそうです。
「黒田総裁」はやたらとポジティブサプライズを演出したがっているようですが、本来対話重視の「中央銀行」の運営からいくとサプライズが必要なわけではなく、ここ2年近くの日銀のやり方はある意味でかなりトリッキーであり、市場参加者にとっては売買で痛みやすいやり方となってしまっています。
それだけに安易に事前に決め込みでポジションを持たないといった工夫が必要です。
■1/29(金) 日銀政策決定会合のスケジュールは下記のようになっています。十分にご注意ください。
・12:00過ぎ ⇒ 日銀政策金利&声明発表
・14:00 ⇒ 日銀経済・物価情勢の展望公表
・15:30 ⇒ 黒田日銀総裁声明(記者会見)
(この記事を書いた人:今市太郎)