19日ロンドンタイムのドル円は久々に118円をつける大きなショートカバーを示現し、一旦は大幅な下げから一息ついたように見えましたが、NYタイムに入るとまたしても原油価格が頭を抑える展開となり、117.300円レベルまで下落する行って来いの動きとなりました。
東京タイムでは専ら中国の指標に振らされる展開となりましたが、投機筋を始めとするドル売り円買い勢は21日移動平均線を越えるまでは当分売りで市場に臨もうとしているようです。
下記の日足チャートで見ますと、119円をすんなり超えるまでは上値での売りが待ち構えてい状況となっているようです。
スキャルピングだけで対応しているのであれば、上げても下げてもそれなりにとれる相場です。
しかし、デイトレで臨むと1日に何度もセンチメントが変わるため、よほどチャートに張り付いて売買していないかぎり、投げと買い戻しに行く手を阻まれて、乱高下の相場に巻き込まれるだけの厳しい動きとなってきています。
本邦個人投資家は下落の下値を丁寧に広い買い持ちにする展開
外為どっとコムが開示している自社の顧客情報によりますと、16日段階ではやはり116円の下値で買いを仕込んでいる個人投資家が多く、19日に入って戻りを試す局面では徐々に買いをいれ、118円に入ると利益確定している状況が見えてきます。
したがって海外投機筋と本邦個人投資家のスタンスは真っ向から対立するものとなっており、果たしてこのコントラストがどのような形で相場に影響することになるのかが注目されます。
19日の118円台滞空時間は実に短いもので終わっており、118円台が個人投資家の一旦の利益確定ポイントとなっていることがよくわかります。
ドル円ロング個人投資家の118円台利益確定が相場を重くする動き
こうした116円台に入るとロングを仕掛ける個人投資家は120円以上に相場が上昇することを期待していないようで、1月の雇用統計時に示現し多118円80銭程度が上値と見ていることから118円台に入ればほとんどのトレーダーが手堅く利益確定に動く傾向にあるようです。
ですから、この個人投資家の動き自体が上値を重くするものとなってしまっています。
またドル円をショートにしている投機筋から見ると、逆にロングにしてくれる絶好のカモ的存在になっており、今後この対照的な売買状況がどちらの相場にプラスに働くことになるのかが注目されます。
ドル円の頭を抑えるクロス円の大幅な下げ
ドル円のことだけ見ていますと、中国上海株に加え原油価格の影響から上下動の幅が広くなっていきていることから、上げるのか下げるのか日々の動きの判断は難しく見えます。
しかし、円に関していいますとクロス円が総じて大きく円高になっていることから、これがドル円の上値を明らかに抑える要因ともなっており、大きな戻りも期待しにくくなっていることがわかります。
依然利益獲得チャンスは丁寧な戻り売り
相場がショートカバーしますと、これまで118円台から120円台にかけて取引してきた記憶の残っている個人投資家は上方向に戻すことを期待しがちです。
しかし、結局のところは丁寧に戻り売りをし、ショートカバーで持ち上げられたときには一旦損切りしてベストポイントから入りなおすといった作業を繰り返していくことが当面の利益につながるのです。
こうした相場では売り買い両方を獲得しようと欲張らず、買いか売りかをはっきりわけて売買することがリスクの少ないトレードになりそうです。
1日に結構な上下動がありますから、買いから入っても戻り売り専門でもどちらもそれなりに利益が取れているかと思いますが、売買方針と相場のセンチメントだけはしっかり把握しておくことが必要です。
当分は上下に大きく振らされながら底値を模索する動きが継続しそうな状況で、とにかくチャートをよく見ながら決めうちではなく丁寧に相場についていく心構えが必要となってきています。
(この記事を書いた人:今市太郎)