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2016年イギリスのポンドはまたしても大きなリスクに直面することになり、具体的な影響は年初から徐々にではじめそうな勢いです。
ひとつは5月にも実施が予定される「EU」離脱をめぐる国民投票であり、もうひとつはスコットランドの自治政府選挙ということになります。
「EU」離脱をかけた国民投票は今回初めてのものとなるため、結果がどうなるのかはやってみないとわからない部分がありますが、スコットランドは前回住民投票も実施しており、さらに話が進む可能性があります。
特に難民問題や「EU」への様々な財政負担についてはかなり否定的な意見をもつイギリス市民が多いと言われており、流れがはっきりすれば本当に離脱へ動き始めることも考えられます。
「EU」自体は「ギリシャ問題」も解決がついたわけではなく単なる先延ばしでしかありませんから、こうしたイギリスでの動きが「EU」域内各国の動静に大きなインパクトを与えることになる可能性は否定できない状況といえます。
イギリスのEU離脱確定ならばポンドはさらに大きく下落
イギリスは「EU」諸国との貿易取引では常に赤字になっていますが、イギリスが「EU」から離脱することになればこうした「貿易赤字」はより鮮明になることから、ポンドの一層の下落が進むことは間違いない状況です。
ポンドドルとしてのレートは、1.40０～1.55０のレベルで推移しそうですが、事前の予想などがでれば当然下向きに動き始めることとなります。
これが現実に決定するようなことがあれば、かなり下抜けることも想定しておく必要がありそうです。
ポンド/円の場合には、ユーロ/ポンドやポンド/ドルとの関係で多少動きが変わる可能性もありますが、基本はポンド安が進むことには変わりはないものと思われます。ただし、ドルに対して円がどこまで「円高」になるかによってもポンド円の動きには変化が現れそうです。
さらにスコットランドの独立といった動きが再顕在化してきた場合には、これを上回る動きがでることも考えられます。
果たしてこのイギリスの動きはどこまでが現実のものになろうとしているのか現状ではよくわからないところがありますが、これがきっかけで「EU」自体の結束にも影響が出る可能性が高まり、ユーロ自身の相場にも影響を与えることになりそうです。
とくに前回のスコットランドの住民投票のケースを思い浮かべますと、事前段階での世論調査の結果に為替相場はかなり大きく振らされることになり、しかも一方向に動きだしますと驚くほど大きく上昇したり下落したりするため、順張りでついていくことが必須となるのは言うまでもありません。
適当なレベル感で参入しますととんでもないことになるのがポンドの動きですから、十分に注意が必要となるのです。
イギリスの利上げ期待は大きく後退
2015年米国に次ぐ存在として何度となく浮上したイギリスの利上げですが、結局利上げができる状況ではなく、こうした動きは大きく後退することとなりました。
毎回「カーニー総裁」が記者会見で口走った利上げ予測はいったい何だったのか・・・非常に大きな疑問が残りますが、少なくとも向こう1年では利上げ期待からポンドが上昇することはなさそうで、「EU」離脱が現実のものとなれば、ポンドの下落を止めるものはなにも無い状況となりそうです。
ユーロ圏ではこのイギリスの離脱問題が大きくなることで、ほかの加盟国の動きにも微妙に影響しそうで、フランスやスペイン、イタリアの動向も気になるところです。
「EU」は「量的緩和」措置をめぐっても必ずしも一枚岩ではないことから、イギリスの動きが現実のものとして顕在化した場合、現状の「EU」の体制を維持できなくなるリスクが高まることも想定しておく必要がありそうです。
ユーロ自体は対ドルで上昇する可能性がでてきていますが、イギリスのこの動き次第では逆方向に戻ることもありえる状況で、今後の動向は注意深く見守る必要がありそうです。
動きを見極めて順張りでついていくのが正攻法
ポンドはドルに対してもユーロに対してもよく動くのが大きな特徴ですが、クロス円通貨となるポンド円ではさらにその動きが増幅されることになります。
スコットランドの住民投票時もそうでしたが、ポンドは一度動きだすと平気で200ポイント程度は1日で往復する通貨です。
ですから、安易な逆張りやレベル感での参入は絶対禁物の通貨と認識することが必要です。
動きの方向を確認して順張りでついていくということを鉄則にして、売買に臨むことが成功への第一歩といえます。
（この記事を書いた人：今市太郎）
