いよいよ今年の為替相場の最大のイベントとも言うべき米国の利上げ、つまり「FOMC理事会」の決定が近づきました。しかし12月3日の「ECB理事会」以降相場は大きく大方の予想から逆走し始め、市場参加者はなにがしかの痛みを分かち合う結果となってしまいました。
特に激しかったのは12月7日からのドル円相場であり、まさかの120.380円レベルまで下値を切り下げた形となってしまったのです。
この10日間は完全な投げ相場のドル円
ドル円は長らく下値のサポートとなっていた122.200円をあっさり割り込み、さらにその下の重要なサポートラインとなっていた121.570円も下抜け120円台に突入しました。一旦は120.600円で止まりましたが、翌日にはさらに下値を試し120.380円レベルまで下落しています。
一方「FOMC」開催日の12月15日には121.780円レベルまで巻き戻す動きとなっており、市場にロングで買い向かっていたトレーダーは何回も投売りを余儀なくされましたし、昨晩戻り売りをしていた向きは踏み上げられてしまったことになります。
したがって為替に関する限りドル円はすでに「FOMC」後の動きを一旦消化してしまったのではないかという見方も強くなっているようです。
下落を予想した連中はすでに200PIPSを手にしていますし、上昇を予想していたトレーダーでも100PIPSは確保できてしまったというわけです。
また18日で「クリスマス休暇」入りですから、ここから買い上げてもすぐに利益確定するトレーダーも多いはずで、結果として「FOMC」後はほとんど動かないのではという予想すら登場するようになってきています。
すでに市場は痛みまくりで動ける状況ではないとの声も
「ECB」以降のやられの蓄積でプロのトレーダーはペナルティボックス入りしている人も多くなっているようです。したがって17日にすぐには動けず、実質「クリスマス休暇」後の28日から本格的な動きが見られる可能性も高まっているようです。
こうなると、ここまできたら結果を見てから買うか売るか判断するというのも得策になってきています。
相場は結果が出る前にほとんど動きまくってしまったというのが「投機筋」の見方のようで、むしろそれ以外の心配事のほうが大きくなってきているのが実情です。
年末年始は下落要因満載
「原油価格」は一旦落ち着いていますが、これで元に戻るとは到底思えない状況です。
原油のみならず他の「コモディティー」もかなり危機的な状況で、関連企業の大型倒産、ジャンク債市場の「デフォルト」による穴埋めでの株売り、中国人民元のクリスマス期間中の切り下げなどいつ起きても不思議ではないことが満載の状況です。
「FOMC」後がどうなるのかは開けてみないと判らない状況ですが、ドル円なら上昇したところで売りもちにして年末を迎えるのもひとつの手になりつつあるようです。
日本だけは独特の年末相場が続く可能性も
日本の「株式市場」は月末まで取引が行われますから、ドル円がこれに追随することになるとすればそれなりの高値をつける可能性は残されています。しかし世界的な流れとは別になる子可能性も高く、こちらも高値は売りもちしておくことがお勧めになります。
過去2年、1月は月初からドル円が大きく下落してはじめっており、2度あることが3度あるなら来年も同様の動きの可能性は高まることになります。とにもかくにも「FOMC」の結果まであとわずかですが、期待はずれの動きがでることも最初から加味して売買をしていきたいところです。
盲目的に一方向の動きだけを想定していますと年末なのにとんでもない損失だけ被って残念な一年の締めくくりになりかねない状況です。そのあたりは心して売買していきたいものです。
最近では大口の「投資筋」が相場の動きについていくことから流れが明確になることが多く、ロジック的に納得がいかなくても動きだしについていくしかないのが為替の世界の売買になっています。決めうちだけはせずに、柔軟に相場についていく姿勢を持ちたいものです。
(この記事を書いた人:今市太郎)