「FOMC」を前にして、案の定「原油価格」の下落から相場は株も為替も大きく下げることとなっています。このコラムでも何度かご紹介している「炭鉱のカナリア」がまんざら嘘でもなかったことがわかりましたが、それにしても「FOMC」前にドル円は120円台中盤まで戻るとは予想すらしなかった状況です。
12月7日週のはじめの下落は確かにファンドの投げ相場が招いてたもののようですが、週末に向けての「原油価格」の下落は一旦投げの出た相場に市場が連動しはじめて大きな動きを引き起こしてしまっており、ややもすれば「トレンド」展開になりかねない状況に陥りつつあります。
すでに12日の早朝の段階で「WTI」「原油価格」は36ドルを完全に割り込んでおり、今年最低の引け値となることは間違いない推移です。この年末相場でかなり市場は痛んでおり、参加者は等しく損失を被ってしまったようで、だれも儲からない不毛の相場展開が続いています。
果たしてこの先はどうなるのか?
誰しもが思うのは「FOMC」以降一体年末相場はどうなるのかということですが、「原油価格」がこのまま12月16日に向けて30ドルを底抜けするような事態に至ったときに果たして「イエレン議長」が利上げを断行できるのかどうかに不安が残るところです。
この人物は議長になってから一度も相場の洗礼を受けていませんので、危機的な状況に直面してどう判断するのかはよくわからない状態です。
大学の講演で脱水症状になるほど繊細な神経の持ち主のようなので、これで利上げを見送ることを決定すればさらに市場は荒れることになりそうです。実はこの部分は今となってはもっともリスクの高いところなのかもしれません。
FOMC後の市場の見方は二通り
このコラムでも何度かご紹介した、今年の予想当て男として有名なダブルラインキャピタルのCEO「ジェフリーガンドラック」は、「FOMC」後株式相場が大幅に下げると予想を発表しています。
一方利上げに最後まで反対している「ローレンスサマーズ」元財務長官はすでに市場は折込済みで大きな混乱は当面起きないのではないかとまったく正反対の予想を公表しています。
どちらが正しいかは17日の未明になってみればすぐわかることですが、とにかく結果発表後の相場の動きを見てから投資判断をおこなってもよさそうな状況で、先に「ポジション」をもつのは控えるべきかもしれません。
またジャンク債の相場はエネルギー関連からほかのジャンク債へと「デフォルト」の広がりを見せる可能性もあり、この年末はめったにない大幅下落相場で終焉を迎える可能性がでてきております。
「クリスマス休暇」前にそこまでやることになるのかの判断は正直なところつきませんが、もはやテクニカルでは説明できない相場状況になってきていますので、最善の策としては「ポジション」を縮小してどんなインパクトリスクがあっても耐えられる規模に調整しておくことが重要になりそうです。
ドル円は119円を割れない限り反転も想定
急激に弱気な気分になるドル円の動きですが、120円台後半で週を終える状況ですから、週明けに再度反転の可能性も残されています。ただし、年末にすでに123円台に戻るかどうかすら危うい状況になったことは間違いなく、125円台は遠い目標となってしまいました。
本来はこの相場の動きから見れば一旦「ポジション」をすべて整理して静観したいところですが、あえて残った「ポジション」を動かすのであれば16日までに利益の乗ったものは一旦手仕舞うことが安全になりそうです。
今回の米国の利上げは「ゼロ金利」からの利上げであり、2004年の事例はほとんど参考になりません。何がおきてもおかしくないと思って対応しておくことが必要な時期にさしかかっているといえます。今年は想像をはるかに超える不気味な年末になりそうです。
(この記事を書いた人:今市太郎)