11月9日週は、週初の予想通りドル円は123円台中盤を上抜けることができず、毎度毎度の雇用統計「アノマリー」通り相場は下方向に動くこととなりましたが、下落のスピードもきわめて遅く、その勢いはほとんど感じられない状況になってきています。
日本人のFX個人投資家の関心は、果たして12月にドル円がどこまで買いあがることになるのか、またどこで利食いをすればいいのかに集中しつつあると思いますが、現状のドル円を上昇させるドライバーのことを考えるともっぱらその鍵を握るのはユーロドルということになりそうです。
当面、ドル円は125円をつけに行くのか?年内に新値があるのかも気になりますが、ドル円単体だけでは大きく上昇させる材料は少なく、市場の見方ではすでに米国の利上げ3回分を織り込み始めているという話もでています。
その事から125円に到達するにはユーロドルがどこまで下がるか?が最大の焦点となりそうです。
2015年1月のECB・QE決定時には480PIPS以上下げに
このスケールがそのまま12月3日の「ECB」会見でもほぼ同様に示現するとなると、ユーロドルがどのレベルの発射台から下落することになるか次第の部分もでてくることになります。
1.09レベル以下からであれば今年の最安値の1.04623を下抜ける可能性が高くなります。
一方で事前にさらに織り込んで下げたてしまい3日の前に1.06以下となれば同じレベルの下げを示現すれば1.02から1.01となる可能性もあり、もっとパリティにより近づくことが予想されます。
※ユーロドル週足チャート
ただ、この1月22日は、1月15日にスイス中銀による悲劇的な介入中止宣言のオペレーションにより相場が暴落した後だけに「ECB」の結果を受けてドル円は思ったほど上がることはなく、程なく下落に転じていますから、必ずしも参考にならないのが現実です。
また今年6月にドル円が126円に迫ったときもユーロドルが大幅に下落したわけではなく、ドルが原因で上昇する相場でないとユーロドルとドル円の逆相関がはっきりと読み取れないという難しさもあります。
アベノミクス以降1月は陰線引け~2度あることは3度あるか?
ドル円の9月から翌年1月までの月間での陽線引け、陰線引けをチェックしてみますと下記のような取り組み表になります。
今年は11月もまだ終了していませんから表は不完全ですが、2013年、2014年と見てみますと「アベノミクス」と日銀の追加緩和で外国人投資家の
買いや「PKO」相場により絶好調の年であっても1月は陰線引けとなっており、年明けからドル円はどんどん下落する形になっています。
2015年の1月は「スイスフランショック」というとんでもない事態に陥りましたので陽線どころの騒ぎではなくなりましたが、2016年1月、2度あることが3度あるとすればどこまで上げるかの見極めと同時に年内高値でいかに売り抜けるかが最大の焦点となりそうです。
尻尾の先まで取り込んで利益を確保したいと思うとどうしても利益確定が遅れそうな気がしますが、どのあたりでよしとするかの自己判断を厳しく迫られそうな年末です。
ちなみに米系企業が利益をドルに転換して本国に送金するレパトリエーションも12月第二週にはほぼ終了するのが通例ですから、18日を超えますと相場の流動性が下がることになり16日の「FOMC」をしっかり見決めて判断するのかその前に利益がのっているものはある程度実現益にしてしまうかはかなり重要な判断になりそうです。
(この記事を書いた人:今市太郎)