28日朝3時に発表されたFOMCの政策金利は大方の事前の市場予想通り変更なしとなりました。
声明文上「世界情勢が成長抑制との文言外す」「米経済、緩やかなペースで拡大」がはずされたため、ドル円は買われることとなっております。
声明文のフレーズチェックに明け暮れる市場
わかりにくいのは利上げはしないのに経済がゆるやかに回復と声明文に記載されているとドルが買われる構造です。
ひとつは株価が下落しないで済んでいることに起因していると思われますが、経済が緩やかに回復しているなら利上げすればいいものをそれができない。
しかも世界経済が成長抑制の文言が外れているのになぜ欧州ではECBが追加金融緩和をし、日銀にも追加緩和期待がこれだけ高いのか、政策内容の中身と市場の動きに整合性がとれない状況になりつつあります。
ただ、12月の利上げ期待につながっているところがドルの上昇を招いているといったところでしょうか。
FedウオッチャーによるこのFRB声明文解読にはいささか辟易とさせられますが、とにかく利上げの可能性をつなげたことに市場はドル買いで対応したというのが今回の結果です。
ユーロとドルの政策上のコントラストからドルが買われる動きにドル円も追随
為替相場はユーロドルにおけるドル高の動きが顕著であり、ドル円はそれに付き合わされている感がありますが、この内容をもってして、思い切り買いあがるほどの材料はなく、いよいよ次なるネタは日銀の政策決定会合へとシフトしていくことになりそうです。
声明発表後後ドル円はまたしても121円台にのる形となりますので、日銀の会合における飛び込み台は高くなる可能性があり、追加緩和がなければそれなりに深いところへ飛び込むことになりそうです。
CMEのFedウオッチでは12月利上げの可能性確率が上昇
毎度おなじみですが、CMEのFedウォッチはこの声明を受けて12月利上げの確率が高まっています。
ただ、市場のエコノミストやアナリストの分析ではすでに年内利上げはできず、このままいけば来年前半も利上げがないと見込む筋も増えてきており、状況としては既にりFedは利上げのタイミングを完全に逸してしまった感があります。
米国は製造業の景況感があきらかに悪化していますが、個人消費だけは上向きを保っています。
特に全米の自動車販売は車のサブプライムローンのおかげと石油価格の下落により大排気量のピックアップトラックなどプレミアム感の高いモデルの販売が好調で、この領域だけは陰りをみせないままサンクスギビングからのセールによる強い個人消費の継続へとつないでいきそうな状況です。
Fedとしては引き続き利上げの可能性を示唆するしか政策が無い状況
この間、イエレン議長も十分に学習することができているようですが、弱気の発言やどうなるかわからないといった発言がFedサイドから出ると株価が大きく売り込まれるようになってしまっているため、Fedとしては常に利上げの可能性があることを市場に訴えかけていく必要に迫られています。
ただ、このやるやる詐欺のような市場との対話をいつまで続けていけるのかが大きな問題になりますし、米国の実態経済は言われているほどいい状況にはないのもまた事実です。
無理に利上げしても再度利下げに追い込まれれれば完全に中央銀行の政策としては失敗であると烙印を押されることになりかねません。
追加利下げを口にしたECBも本当に更なるマイナス金利を実現できるのかどうかは怪しいところがあり、12月という米国がもっとも個人消費で売り上げを稼がなくてはならない時期に水を差すような政策発表をするかどうかにも大きな疑問が残るところです。
全体としてはヘッジファンドの目論見どおり年末までは少なくとも中央銀行バブルは温存されると見て間違いがないようですから、恐る恐るハロウィンエフェクトで相場に買い向かうことを考えてもよさそうなタイミングがやってきているようです。
(この記事を書いた人:今市太郎)