2015年のドル円相場は投資妙味に欠けた

まだ2015年が終わったわけではありませんが、ドル円相場も年間を通じてみればスイスフランショックから始まって、8月の中国起因の大幅下げなど実に様々なことがあったような気がします。

スイスショック→　スイスフラン円20分で約4000pipsの上昇の歴史的相場

中国ショック　→　2015年8月24日の大暴落とはなんだったのか？

しかし「年間変動幅」という表にまとめてしまうと、実に投資妙味にかける1年になりつつあることがわかります。今回はこれについてご紹介していきます。

現状までの実績ではドル円の年間変動幅は昨年の半分以下

実際に1995年からの年間変動幅をごらんいただくのが最も早いと思いますが、2015年は10月19日までの変動幅で見たのが以下のシートということになります。

先週までは「ドル円は118円を切れるのではないか？」と市場は大騒ぎをしましたが、蓋を開いてみれば元の木阿弥になりつつあります。しかし、驚いたことに2015年は始り値が119.61円ということで、ほとんど動かずに同じところへ戻ってきていることがわかります。

しかも値幅は昨年の半分以下。これで120円超まで戻したとしても上値はたいしたことが期待できず、事実上ドル円投資は今年は終了にも思えてくる状況です。

値幅調整という自律的な相場の動きを奪った官製相場

今年は「ヘッジファンド」の利益が「リーマンショック」以降最大の落ち込みであることは、ほかの記事でもまとめていますが、結局その元凶となっているのが、官製相場による下落しない相場ということができそうです。

→　2015年ヘッジファンドの業績はリーマンショック以来の最悪年に

自律的に下落した調整しないので、それをバネにした大きな反発もないというのが今年のドル円相場の典型的な状況であり、下落しないことが上値を追えない大きな原因にもなってきているというわけです。

118円台初頭で買い向かったとされる国内個人投資家は120円に届かなければ、そろそろ利益確定をするレベルともいえるお寒い状況であり、ドル円に関してはよほどの下落局面で買い向かわない限りほとんど利益がでないとも言える状況に陥っています。

投機筋が下落を仕掛けるのもよくわかる状況

通常為替相場の上昇はじりじり上げることになりますが、下落は短時間で一気に落ちることが基本となります。

したがって短い時間で利益を確保したい「投機筋」は下落をしかけてくることが多くなるわけですが、このドル円の相場状況ではそうした動きがでても仕方ないといえるのが今の状況です。

ここから113円方向まで下落しても6円程度とたいしたことはありませんが、年末に向けてとれる金額ということでいえば、125円の再来を画策するよりはかなり楽なはずで、下方向に気をつけたほうがいいことだけはどうやら間違いないようです。

118円にあるダブルノータッチオプションの存在

市場で言われ始めているのが118円あるという「ダブルノータッチオプション」の存在です。

上値のほうは122円にあるのか124円設定されているのかまったくわかりませんが、個人投資家の118円近辺での買い支えとともに、このついたら権利消失になる「ダブルノータッチオプション」の防戦買いがかなりでたことは事実のようで、120円手前になると買ったポジションを売っているはずですから、上方向にも上がらないというのは、相場状況と整合性のあるものといえます。

このオプションがいつエキスパイアするのかは不明ですが、下値の堅さもたいした守りがあるわけではないことを示唆した噂といえます。