日本時間の10月9日未明に発表された「FOMC」議事録では、多くのアナリストが利上げ見送りの判断は紙一重だったことが議事要旨で示されると見込んでいました。
苦悩するイエレン議長の状況を見てヘッジファンド勢はリスクオンの動きへ
金融相場では、人の嫌がる方向に動くのが「ヘッジファンド」の大きな特徴です。
「FOMC」以降講演会でも脱水症状でふらふらの「イエレン議長」の姿と、その後体調が思わしくないという報道を見た「ヘッジファンド勢」は少なくとも12月までは利上げなしと見込んでいるようで、短期間相場を買い上げることで利益を確保する、俄かリスクオンの戦略をとり始めているようです。
人の弱みに付け込むというのもいかがなものかとは思いますが、そのぐらい「投機筋」も必死であることは間違いありません。実際あらゆる相場がたいした理由もなく買い戻しに動いており、流れが微妙に変わってきていることが窺われます。
12月までの短期戦略で、少しでも利益を積みまして逃げ切ろうというのが戦略のようです。
「FRB」メンバーは、しきりと利上げを実施する旨を示唆しては株価の下落を食い止めようとしているように見えますが、逆にこの流れにのってギリギリまで「中央銀行」バブルの利益を確保しようというのが「ヘッジファンド勢」の短期戦略になってきているようです。
イエレンの金融政策はFRB最適化モデルで簡単にゼロ金利解除ができない
もともと「イエレン議長」は副議長時代であった2013年末に、自ら最適コントロールモデルと呼ばれるコンピュータによるOptimization モデルを導入しており、膨大な経済データを「FRB」による計量経済モデルで管理することで「金融政策」を決めている事を明らかにしています。
しかも、当時このモデルによる最適化を実施した場合「ゼロ金利」の解除は2017年になると語っており、当時の状況とさして変わらない「経済指標」の今日の状況を比較してみると、簡単には利上げを実施できないはずだとする「投機筋」の憶測が働いている事はどうやら間違いはないようです。
直近のこの経済モデルの結果は、まったく公表されていませんが、事前に利上げを示唆してしまいながらも足元のモデルの結果が乖離してしまっていることに「イエレン議長」が大きく苦悩している状況を見透かされてしまっているのは間違いないようです。
この危なっかしいリスクオンの相場が、いつまで継続するのかの見極めが必要な状況です。
12月手前まで思い切ってついていくかの判断が必要
こうした状況から短期筋の売り方も一旦様子を見始めているのは事実のようで、株も為替も一旦買い上がりが続く可能性を考える必要が出てきているようです。
実に猫の目のよう変化の激しい相場ですが、売り浴びせより買い上がりの方が利益を取れると見ている「ヘッジファンド勢」が多いのは事実のようで、彼らが買ったものは必ず反対売買になることだけがわかっていますが、果たしてついていくべきか?またどこまでついていくか?についてかなり微妙な判断が伴うことになりそうです。
また殆どの「ヘッジファンド」は11月末か12月が決算期になりますので、それまでに利益を確定させておきたいという事情が伴っていることは間違いなく、必ずこの動きには売りが登場することだけは認識しておかなくてはなりません。
したがって、この相場についていくなら早めに乗って早めに降りてしまう必要がありそうです。
今年「ヘッジファンド勢」は洒落にならないぐらい利益を確保できていないだけに、少なくとも今月はこの動きを加速させる可能性が高まってきています。
トレンドが出始めた頃に相場に乗って取り残されないように、くれぐれも注意が必要ですが、短期的についていくというのも一つの判断といえそうな状況です。
(この記事を書いた人:今市太郎)