9日の午前6時に発表となったニュージーランド中央銀行である「RBNZの政策金利発表」は予想通り「0.25%の利下げの2.75%」となりましたが、声明文上今後さらなる利下げの可能性を示唆したことから市場は売りが加速、NZD円は70円台前半へと逆戻りしはじめています。
次回以降2.5%以下の金利となる可能性もでてきており、当分NZD円は買い上げれそうもない状況となってきています。スワップ狙いの通貨としての魅力も剥落しかかっており、この通貨ペアの取引はかなり難しい局面を迎えてきているのです。
資源国通貨が高金利通貨という時代は既に終わっている?
長らく高金利通貨として定着してきたニュージーランドドルですが、日本に比べれば利率は高いものの、もはや高金利通貨の域から脱し始めている様相を呈しています。
2.75とか2.50%というのはもちろん依然として日本よりは高金利であることは間違いありませんが、いわゆる往年の高金利通貨の面影はすでになくなっていることがわかります。下記表を見ると、NZの政策金利は2008年2月時で「8.25%」だったわけですから、改めて時代の変化を感じるところです。
RBNZは2016年のインフレ見通しを1.6%から1.5%に下方修正しています。
一方で2016年第3四半期には2%の目標に到達するという見通しを立てていますが、これだけ世界的にデフレ傾向が強まっている中で、中国の経済的リスク、原油安、米国の利上げの影響をもっとも受けつつあるNZDだけが簡単にインフレ率のターゲットをクリアできるとも俄かには思えない状況です。
流動性の低いマイナー通貨ペアのNZD円はリスクが高すぎ
これまでスワップ狙いということで買い向かうのが定石となってきた「ニュージーランド円」ですが、すでに高金利通貨というほどの高金利でもなくなってきており、相場によっては「売り向かった方が儲かる時代」を迎えています。
とくに「ニュージーランド円」は日本人投資家ご託宣の銘柄でこの通貨ペアでディールをするほとんどのプレーヤーは買いでしかポジションを持っていない事から流動性はきわめて乏しく、一旦売りがでると皆が損切りで売りに回る事からBidを探して大幅に下落する傾向が強まっています。
スワップ狙いの高金利通貨というイメージが定着していますが、すでにそういう性格の通貨ではなくなってきているというわけです。
せめてNDZ USDで取引するのがお勧め
ひとつの発想としては、今後利上げの起こる米ドルとの組み合わせにして売りも買いも対応する方法があります。NZD USDは少なくとも日本円との組み合わせよりも実需があるため流動性は高くなります。
また金利の高くなる米ドルならばスワップポイントを負担するにしても、かなりマイルドな取引をすることが可能になるのです。
売りも買いも対応ができるとなればこうした通貨ペアでもかなりの売買チャンスが生まれることになりますし、何より米国の利上げが確定するタイミングでもう一段下落することも考えられるため、この通貨ペアで取引していた方が利益チャンスは増える可能性があるからです。
いきなり取引するとかなり見慣れないレートになってしまいますので、ある程度日常的に見慣れていく必要がありますが、少なくとも「ニュージーランド円」よりは流動性がありますから売り、買い双方向でのチャンスを活かすことができるようになると思われます。
■NZD USD30分足チャート
これまで培ってきたNZドルの通貨としての状況はかなり大きく変貌を遂げようとしています。
直近のフォンテラの乳価の入札価格は生産調整から反転して上昇傾向にありますが、巨大消費国の中国の状況を思い測れば、主要生産品である乳製品の市況が急激に改善する可能性はありません。
世界的なデフレ傾向の中でウエストミンスター通貨だけがどこまでインフレ率を改善していくことになるのかも懐疑的な状況を迎えています。
ニュージーランドドルとの付き合いからも大きく見直す時期が訪れていることを強く感じます。
(この記事を書いた人:今市太郎)