昔から株の世界でも
「下げ三波」と言われるように大きな下げは少なくとも3回はあると言われていますので、もう一発近場で下げを食らう可能性については覚悟が必要ですが、相場に対する投機筋の見方は両極端に分かれているようです。
中国の金融当局がやっているのは日銀と同じというヘッジファンドの見方
日本人の投資家の目から見ると既に中国市場は資本主義を逸脱した相場に見えますが、外資系ヘッジファンドの多くは、中国金融当局のやり口は日本の日銀をはじめとする金融当局のやり口と同じで、真似をしているだけだとの認識が極めて高いことに驚かされます。
これは「意識的に為替を切り下げ、中央銀行自身が下げ局面でETFを買い、PKOと呼ばれる準公的機関が意識的に株価を支えている状況」を箇条書きにしてみれば、ほとんど変わらないという認識が強くあるようで、言われてみれば株売り禁止を除けばかなり似ていることは間違いありません。
なんとか持ち直すという見方とさらなる破綻という見方に市場は二分
そんな中で、この先の中国市場に対する投機筋の見方も二分されているようです。
強気派は、この日銀ライクなPKOを中国人民銀行自ら登場してやり始めれば、資金量が豊富なだけに当面株価も為替も安定して問題ないとする説を唱える層が多いようです。
その反面、中国経済自身が減速に入っており、予想以上に今後の経済指標が悪化して本質的な経済の停滞が露見することで、株価を下げると見る層が多いのも事実のようで、どちらに転ぶのかはまだ正直わからない状況となっています。
7月20日朝には驚愕の中国勢による金まとめ売りも
日本は海の日で為替の動きも緩慢となり、穏やかな三連休の最終日であった7月20日の上海市場スタート直前、金の先物市場に大きな売り物が持ち込まれ、ドルベースの金先物市場は「4秒間で20ドルという驚異的な下げ」を記録することとなりました。
1日25トンの売買が、平均の金先物市場で頭の2分に5ドンの売り物が出た訳ですから、市場が動揺するのも当たり前で、同日のNY市場は再度先物が大きく売られて、1000ドル台まで下落したのはご存知のとおりです。
一説には中国系のファンドが売却した、あるいは中国の金の準備比率が予想以上に低く、それが売りを加速したと言われております。
更に、21日からはじまる「ボルカールール」の完全適用を前に自己売買を主体とする金融機関の売りが加速した。と様々な理由が出ていますが、もうひとつ注意しなくてはならないのが中国人投資家に価格下落で「マージンコール」がかかり、追証を用意できない投資家が自ら投売りしたという話です。
実際マージンコールがかかったことは間違いないようで、株式から資金を抜くことができない中国人の個人投資家が周辺投資を切り崩さざるをえない事態に追い込まれていることが、見え隠れしてくる状況となっています。
個人投資家の動向次第では他の相場にも波及
確かに中国経済は減速しつつあり、マクロ的に見ても決していい状況ではありませんが、それ以上に気をつけたいのは借金までして投資を行っている中国国内の個人投資家が資金的に回らなくなり、様々な市場で投売りを始めることです。
一旦相場が下がり始めると売りが加速し、結果としてレバレッジをかけて売買している相場ではマージンコールがかかりますのでそのまま放置していれば翌日強制決済という悪循環が広がる可能性があるということです。
これは相場の見通しと関係なく起きる極めて事務的、物理的な事象ですが、市場参加者の短期的な視点では中国起因の下げ相場と映りますのでパニック売りになりやすく、負のスパイラルで想像以上に下げを加速することになりかねないのです。
特に為替はあらゆる相場の二次的影響を受けやすいものですから、この夏「下げ3波の3波目」が襲ってくる可能性についても十分な備え「まさかの時」のストップロスをしっかりかけられる状況で準備しておく必要になりそうです。