2月第三週日経平均はついに30年半ぶりに3万円を超えて3万700円を突破するところまで値を上げる動きとなりました。
しかしさすがに短期間に上昇しすぎたこともあってか19日の金曜日には一旦利益確定売りがでて先物は瞬間的に2万9700円レベルまで下落するという動きになりました。
ただこの日、日銀が3月の政策決定会合にむけてこれまで株価が一定の下落に陥った時に買い入れを行ってきたETFの購入を株価上昇時には行わないことを明確化する検討に入ったというニュースが流れ、日銀は0.76%の下落となったにも関わらずETFを購入しなかったのです。
このことから、いよいよ高値維持のためのETF買いをやめるのではないかという憶測と疑心暗鬼が個人投資家に広がることとなってしまったようです。
日銀はそもそも株価を押し上げでETFを買い上げていたわけではない
日銀の保有ETFは昨年12月段階ですでにGPIFを上回っており、野村証券の試算では日銀の保有するETFは時価で約46兆5600億円で、約1兆円上回っているとされています。
この段階で国内最大の株主は日銀ということで個別企業でも軒並み日銀が筆頭株主という奇妙な状況が示現している状況ですから、そもそもここからどこまで相場を買い支えるのか、資本主義の健全な株式市場をぶち壊して計画経済に移行するつもりなのかといった疑問も生じるわけです。
市場では株価が下がればどんな時にも日銀が買い支えてくれるというかなり身勝手な思い込みが個人投資家に定着し始めている点が非常に気になるところです。
これで3月正式に日銀がETF買いのルールについてなんらかの意向を発表した場合相場が上昇を維持できるのかどいうかに市場の関心が集まりそうな状況です。
投機筋は完全に日銀の買いすぎを憂慮
個人投資家は憂慮する状況ですが、逆に米系などの投機筋は中央銀行があまりにも買い支えてしまう相場は流動性を欠くものとなり決して良く思っていないというまったく逆の見方をしていることも伝わってきます。
もちろんここまで買い集めた株をこの先一体どうするつもりなのか、売るといった途端に相場は大暴落を始めることになるでしょうからたとえ日銀が買わなくなる状況になってもそれ以上のことは何もできないであろうことは容易に想像できる状況です。
いずれにしてもすでに出口がなくなっている日銀主導の官製相場が終焉を迎えた場合に相場がどのような展開を見せるのかはここからの市場参加者にとっては非常に気になるところでもあり、日銀の対応に益々視線が集まることになりそうです。
日経平均は上昇してもドル円は全く連動しない相場
日経平均が大きく上昇を始めたということで言いますと2013年にアベノミクスが始まった年が思い出されますが、米系投機筋は年間で15兆円も株に資金を投じ、さらにドル円が上昇することに対してヘッジをかけるために株買いと並行してドル円も買い上げたのは記憶に新しいところです。
この年結果的にドル円はなんと23円もの上昇を遂げることとなったわけですが、足もとの日経平均の上昇に関しては海外勢が深く関与しているものと思われるものの、株価の上昇に合わせてヘッジでドル円を買うといった積極的な動きは一切みられていないのが現状です。
恐らく彼らはドル円がここから大きく上昇する状況にはないとみている可能性が高く、やはりこれだけ市中にドルがバラまかれた状況ではドル安のほうが先に来ることを意識している向きが多いのだろうと思われます。
直近では米債金利の上昇でドル円も一時的に上昇をはじめていますが、このあたりの相場に対する先行きの見方が結果的に為替相場に表れていることはどうやら間違いなさそうで、引き続き状況を注視することが重要な時間になってきていることを感じさせられます。