足元の相場では日米ともに株価が指数レベルで大幅続伸し数字だけからいいますと完全にバブルの領域に入り始めている状況ですが、為替はそれとはうって変わってドル円は105円台に上伸中ではありますが、それ以外はそれほど大きな動きになっていないというかなりアンバランスな状態が続いています。
そんな中で異常さを示現しているのが米国におけるほぼ初心者と思われる個人投資家の市場参入です。
それぞれの個人投資家の投入原資はそれほど多くはないものの、数がまとまっていることと思いっきりレバレッジをかけるなど個人投資家としてとれるリスクの最大を投入して株にも仮想通貨にも売買を行う姿勢が市場全体のリスクとして顕在化しつつあります。
バブル末期には必ず個人投資家が雪崩れ込むのが定石
そもそもバブル相場の末期というのはとかく個人投資家が市場に大量参入しやすくなるもので、それ自体で相場がかき乱されるものですが、今回の新型コロナバブル相場ではあまりにも多くの初心者個人投資家が市場を席捲する形となっております。
とくにレディットのSNS掲示板等を利用して特定銘柄に集中投資を行い、その金額が東証の1日の商い額を超えるといった異常な状況を生み出している点は決して看過できないところにさしかかってきています。
とにかく損失を知らないこうした新参者の個人投資家はレバレッジを最大にして取れるリスクを最大限とることから、ひとたび相場が下落に転じ始めると蜘蛛の子を散らすように相場から出口に向かうことから必要以上に相場を下落させる大きなドライバーになりつつあります。
先般米国市場で話題になったゲームストップ株の仕手戦でもヘッジファンドが大きな損失を受けたのは間違いないところですが、逆い仕手戦に参加して買い上げた個人投資家も結果的に大きな損害を受けたのは事実で追証をもとめられて大変なことになっている個人投資家も少なくないようです。
こうした相場経験のない個人投資家は損切することもなく思いきり投資に立ち向かいますからうまく機能した時には確かにプロにはできない爆発的な利益を確保するものですが、逆に損失を貯めこみはじめるともはや収拾のつかないところに追いやられる危険性が高まります。
初心者がリスクをとり過ぎることが市場全体のリスクに
一般的には個人投資家のとるリスクなどは個別にはとるに足らないものなのですが、特定の市場や銘柄にそれが集中しますと市場全体で大きなリスクになるのは言うまでもなく、とくに相場の価格が下落しはじめますと参加している個人投資家が時を同じくして一斉に出口に向かってしまうのは相当危険です。
通常以上にボラティリティのないなかで値を下げるような集団行為を行うことは相場全体の暴落を引き起こしかねない大きな材料となりかねません。
今非常に注目されるのはビットコインやテスラ株など特定の銘柄でネットの発達とともにSNSから情報をリアルタイムで受け手動く個人投資家が爆発的な数になったことはこれまでのバブルにはない投資行動を示現されるようで、過去のバブルでは経験したことのない特別な動きに警戒する必要がでてきている状況です。
自然界でいえばアリの集団行動が大きな力を発揮することがよくたとえとして挙げられますが、ヘッジファンドのように存在が明らかになって一定の行動が顕在化するのと違い、どこからともなく沸いてきて大きな方向性を示現させるのはある意味大変な恐怖につながる状況です。
このまま相場が未来永劫に上昇するなら問題はありませんが、どこかで逆回転が始まったとたんに想定外の大きな動きに陥ることについてはかなり気をつけなくてはなりません。長く相場にいても経験したことのないリスクが迫ってきていることを強く感じさせられます。