ビットコインがここへ来て大幅上昇となりはじめています。
それとともにドル円などは先週とは一転して大幅下落をはじめておりビットコインとドルの逆相関性を指定する声も相場ではかなり聴こえ始めていますが、本当にこの逆相関というのは信用できるのでしょうか。今回はこの件について考えてみたいと思います。
今回の上昇はイーロンマスク効果が絶大
今回のビットコインの上昇に大きな影響を与えたのはテスラのいーろマスクの存在があります。
1月29日イーロンマスクはツイッターのプロフィール欄になぜかひとこと#bitcoinと加筆しそれを目ざとく見つけた個人投資家が騒ぎ出して我さきにとビットコインを買い始めたところから上昇が始まりました。
この段階でビットコインは対ドルで軽く2割上昇する動きとなったわけですが、2月1日に日本で急激に知名度を博する様になったオーディオチャットのClubhouseを利用してマスクが、8年前にビットコインを購入しておくべきだったと言い出したことから、さらにこれが価格上昇の燃料となり暴騰しはじめます。
そして極めつけがテスラが2月8日に15億ドル、日本円にして1570億円相当を購入していたことを発表したことから、ビットコインは対ドルで爆発的上昇を果たし始めすでに対円で500万円を超すのも時間の問題になりつつあります。
しかし自分の会社で買っておいてその間にビットコインの購入を煽動するかのような発言をツイートするというのも相当いただけない話でSECなどが問題行動と言わないのかが非常に気になるところです。
この動きと呼応するようにドルが下落を始めたのは確かに事実で、9日のドル円はNYタイムに104.500円を割り込みかねないほど下値を模索する動きとなりました。
ただ、こうした逆相関性が顕著になったのは8日9日だけの話で1月末はビットコインも上昇をはじめドル円も105年台に上昇したことが気になるところです。
米国民がドルを売ってBTCを買うから相対的ドル安は一応頷ける
ここ5日間のBTCUSDとUSDJPYのチャートを比較してみますと次のようになります。
二つとも同じ期間のスケールで比較していますので判りやすいと思いますが、今週8日からの動きについては確かに逆相関が働いているようにはみえます。
ひとつは、イーロンマスクの発言を聴いて慌てて買いに走った米国の個人投資家が相場を席捲したことからドルを売ってビットコインを買うという動きが強まればドル円ではお相対的にドル安が示現しやすかったとも言えますが、こうした逆相関は常に見られることではなく本当に相関性、逆相関性が明確に現れているとするのは若干躊躇するところがあります。
またこの時期には米国WTIの原油先物価格が大幅上昇をしており既に逆相関が認められているドルがそのために下がっただけという見方もあって現象的に逆相関状態が示現しただけの可能性も否定できないところです。
ゲームストップ株のロビンフッダーによる買い上げの時には日経の取引額を超える爆発的なボリュームが示現していますから相関性、逆相関性については明確に分析することもできますが、今のところビットコインとドルとの関係ははっきりしません。
過去のケースを見てみますと2017年12月のビットコインの暴騰の場合はドル円も一緒に上昇しており、日本の個人投資家が熱狂的に購入したのでドル相場との逆相関が現れなかったのかも知れない状況となっています。
ということで決定的な逆相関性はいまひとつ感じられない、そうみれば見える程度のものですが、ここからさらにビットコインが上昇した場合に本当にドル安が明確に示現するのかどうかをチェックしていきたい状況です。