FRBはとにかく2022年頃までは一切利上げを考えないという超低金利政策を表明していますが、債券市場が織り込むここから先の予想インフレ率は2021年中に2%を超えるとみる向きが多く、FRBの想定をはるかに超えそうな勢いになりつつあります。
FRBとしては瞬間的に2%を超えても緩和はやめないとしているようですが、これが2%を超えて3%に近づくような動きになった場合果たして本当に緩和を辞めて金融引き締めに動かないのかが大きな問題になりそうです。
そもそも中央銀行の役割は株価を上昇させることではなく、物価を安定させ雇用を確保するという二つのお題目があるわけです。
したがって足元で行っている過剰な資金の市中への投入を経済状況のいかんに関わらずただ継続するというのは相当大きな問題になるはずで、仮に緩和を中止した場合には株価の状況、債券の状況がどう変化するのかは大きな関心事になりそうです。
QEを中止すれば確実に株価は下がる
現状の米株市場は新型コロナの感染をもろともせずに史上最高値を連日更新中で、国の追加経済対策がどうなるかが最大の相場材料となっています。
民主党政権は伝統的に大きな政府を模索する政党ですから経済対策のバラまきはやめないのかも知れませんがFRBがそれに連動するかたちで緩和措置をやめないわけにはいかない段階が早晩到来しそうな状況です。
米株が下落しはじめた場合ドル円はリスクオフから上昇すると見る向きもいるようですが、米国の市場から資金が逃げ出すことになればリスクオフは一旦ドル安に振れる可能性が大きそうで円高が到来することも視野に入れておく必要がありそうです。
金利が大きく上昇をはじめると、米国政府は債務の負担を減少させるためにドル安政策に打って出るのが過去の歴史で照明されていますが、バイデン政権も同様の措置をとってくることは十分にありえそうでこの先政策の変化がどう表れるかについても注意していく必要がありそうです。
株式市場は過去にない異常な楽観状態
バブル相場というのは最後には必ず個人投資家が大挙して市場に参入し、一時的に相場を席捲するような状況に陥るものです。
しかし今回の新型コロナバブルの相場ではロビンフッダーのようにひとりひとりは大した資金を投入していないのにもかかわらず、大量の人々が特定の銘柄に押し寄せて相場を思いきり持ち上げるといった過去に例をみないような特別な動きを顕在化させているのが特徴となっています。
ただ、こうした動きはどこかでとん挫することが多く、何かのきっかけで大きな下げが加速しはじめると参加者が一斉に出口に押し寄せることになりますし、売りが売りを呼ぶような状況が示現し、結果相場は想像をはるかに超える形で暴落に向かって終焉するというのがお決まりの事態といえます。
バブル相場が起きるたびに今回は全開とは異なるという見方をする向きが結構表れるものですが、結果的には常にバブルの崩壊は同じ状況に陥ることになるわけで、中央銀行が引き起こしている今のバブル相場の場合には過去の崩壊とは異なる規模の大惨事が起きることも十分に想定しておく必要がありそうです。
そういう意味ではインフレの到来はこの先の相場に非常に大きなリスクをもたらす危険性があり、インフレの深度と中央銀行の政策変更がどのようなタイミングでどう行われるかについては相当注意深く見守る必要がありそうです。
リーマンショックからすでに13年も暴落なしにやってきた相場ですから、今年のどこかで劇的な変化が起きるリスクは常に意識しておくべきでしょう。年の前半は何事もなく進行するのかも知れませんが6月以降がどうなるのかかなり心配な状況になってきています。