1月第二週の為替相場は年初にドル安が進んだ動きから米10年債の金利が上昇したことから連動してドル高への反転する動きを見せました。
市場の長期的視点では相変わらずドル安を予想する向きが多いわけですが、金利の上昇にともなって投機筋と見られる向きが買い向かったことからドルが買われる動きとなりました。
今週の相場ではこれが継続するのか、一旦終息してまたドル安傾向が維持されることになるのかどうかが相場の大きな注目点になりそうです。
バイデン政権の誕生でリフレトレードが進む米株市場
バイデン政権は1月14日、東京時間では15日の午前9時15分に新型コロナの経済対策として200兆円を超える多額の予算を組む考えを示しています。
為替市場は前日の14日の東京タイムですでにCNNの報道でこの情報が事前に流れていたことから大きな反応は見せませんでしたが、民主党政権お得意の大きな政府でとにかくポストコロナのリフレトレードとインフレ期待での債券金利の上昇が進むこととなり、債券が売られることで金利上昇が明確になったことからドル円も一旦は104円台まで上昇することとなりました。
ただし、ウエッブシンポジウムに登場したFRBパウエル議長が現段階では利上げなどを考えるつもりが一切ないことを改めて表明したことから債券金利の上昇も一服することとなり再度ドル安傾向が見られるようになるというなかなか微妙な相場展開が続いています。
先週末は株式相場が崩れはじめリスクオフからドル高が鮮明になり対ユーロではドル高がかなり鮮明になる動きでしたが、ドル円はドル高かつ円高が進んだことか下値は堅いものの大きく上昇するような相場展開にはならないまま週明けに突入しています。
ドル円4時間足
ユーロドル4時間足
18日は米国はキング牧師の記念日で祭日となりますので本格的な動きがでるのは19日以降ということになりそうですが、バイデン新大統領の就任式を経て果たしてドルはドル高に反転するのか年明けからのドル安の動きが継続することになるのかを見極める必要がでてきています。
米国の債務の問題を考えればドル安にせざるを得ない状況に
イエレン前FRB議長は財務長官就任に向けての公聴会の席上ドル安をすすめるつもりがないことを公言していますが、連邦債務はトランプ政権の終焉段階でもすでに日本円にして3000兆円も抱えることになっており、ここからバイデンの大盤振る舞いの政策が次々飛び出すことにことになれば債務はさらに大きくなるのは必然の状況です。
過去の米国政権の場合と同様にドル安にすることでその負担を下げる政策に出る可能性は十分にありそうです。
歴代の財務長官は就任時は必ず強いドルを強調するものですが、債務の実態がそれを許さないところに来ていることを強く感じさせられます。
トランプ憎しで成立したバイデン政権ですが、左派を完全に閣僚から外したことで既に党内の内紛はかなり大きなものになっているようで、果たしてバイデンがうまく政権を運営していけるのかどうかも大きな注目点になりつつあります。
ここからはいくつもの材料が複合的に重なり合ってドル高、ドル安といった状況を形成することになりそうで、一方的に断定してトレードするのは非常に危ないことになりそうです。あくまで相場の動きを見ながらそのセンチメントを捉えて売買していくことが重要になりそうです。
ちなみにこの1月は後半から2月中盤まではシーズナルサイクルとしてユーロドルは非常に弱含む時間帯で、ドル円も下落傾向が強まるのがここ20年の傾向となっています。
逆にそれ以降は反転しやすくなるのも事実で、今年も単純にこのサイクルをトレースした動きになる可能性も視野に入れておく必要がありそうです。