14日に米国大統領選の選挙人投票が行われバイデン勝利が確定しました。
厳密には1月6日に議会に送られた投票結果の開票で正式決定となるそうですが、もはやこの段階で覆すのはほぼ不可能な状況で、年明け1月20日にはバイデン政権が誕生することになります。
今回の選挙は投票後の様々な混乱などもあり選挙結果を受けた為替相場の上昇というものはほとんど見られないままに足元の状況に至っています。
2016年の大統領選挙ではトランプ勝利で一旦ドル円は売られましたが、その後12月末まで実に16円もの上昇を示現することとなり完全にドル高相場の展開となりました。
これはいわゆるシーズナルサイクルにもピッタリ合致する動きとなりましたが、年明けはその動きが緩む形となったのは記憶に新しいところです。
ただ今回の選挙では11月11日に105.677円をつけたのがピークで足元では103円台後半をうろうろしているだけで2円程度の値幅しかないままに年末を迎えてしまっています。
■ドル円日足推移
しかも年末に向けては通常実需のドル買い需要も旺盛になるのですが、どうも今年はそうした動きがないままにクリスマスを迎えてしまいそうな状況です。
株価はFRBの金融緩和だけ好感して上昇
2016年の大統領選挙では為替以上に大きな上昇を示現したのが米株市場でした。こちらもトランプ勝利で一瞬ひるんだもののその後は年末、そしてさらに翌年へと上昇しましたが、大統領就任式前あたりで一旦下落して調整局面に入っています。
今年の相場も株価は大きく上昇していますが、その原因はバイデン政権誕生を好感しているわけではなく、あくまでFRBの無制限金融緩和で大量に市中に出回ったドル資金が株式市場に集中しているに過ぎない点が2016年と決定的に異なる状況となっています。
しかも今回は個人投資家が圧倒的な市場シェアを占める状況になっており、これも2016年とかなり異なる相場状況を形成しています。
問題は来年の相場展開
こうなると非常に気になるのは来年の展開で通常は新政権誕生後は半年近くは株が上昇することになるものですが、今回は果たしてどうなるのかもうひとつ予想がつかなくなりつつあります。
新型コロナの感染が継続するのであればFRBの金融緩和も継続することになるでしょうから株価はそのまま上昇軌道を継続するという見方もありますが、それはバイデン相場というよりはコロナバブルの継続に過ぎませんのでどこかでいきなり破綻することも十分にあり得る状況です。
また為替のほうはどうもドル安に向かっている可能性が高く、対円でも対ユーロでもドル安が明確に示現してきた場合には年明け以降ドル円も大きく下げの方向に舵をとることを想定しておく必要がありそうです。
今年の年末年始は日柄的に本邦市場だけお休みというのは年末の数日だけで年明けは世界同一で1月4日からスタートすることになりますから、本邦市場の間隙を縫って相場の暴落が示現するといった仕掛け的な売買はしにくいものと思われます。
どこかでドル円はドル安傾向に動き始めることを想定しておく必要がありそうで、大きな下落になるのかどうかはまだよくわかりませんが、100円方向に向けて動きだす可能性はかなり高そうです。
現状では103.500円以下にGPIF等の本邦機関投資家がかなりしつこく買いを入れて相場を支えている状況が窺われますが、103円が割れればさらに下方向を目指す確率は高くなり、年明けはさらに低い水準での取引となることも意識しておく必要がありそうです。
例年の大統領選挙年と異なる動きとなった今年のみならず来年の相場もシーズナルサイクルとは異なる動きがでる可能性を意識しておきたいところです。