米株相場は12月に入っても新型コロナワクチン開発が順調に進み、早期の利用が見込まれる状況となっていることやテスラ株がS&P500に組み入れられることが正式決定したことなどを背景にして大きく買いあげられる状況です。
株式相場については依然として上昇が期待される展開が続いています。
ワクチンの普及は2021年春までには進み、その後夏場前には早くも景気が回復し始めるというのが市場の楽観的な見方となっているようです。
しかし初期段階でかなりの効果が発揮されることが治験でわかっても、一回だけの投与で効果を発揮するのかどうかはまだ判りませんし、副作用がでるリスクもあります。
さらに米国では強制的な接種に対する強い反対が国民の間にあることもすんなりと普及につながらないとの見方も広まっています。
そんな中でより大きな問題になっているのが、多くの米国民がこの年末から家を失う状況にあることが顕在化してきていることです。
実態は我々が考えている以上に厳しいホームレス化の状況
米国の国政調査局が発表した内容によりますと、年内までに家賃や住宅ローンの支払いが遅れて住んでいる家を追い出される可能性がある世帯は、支払い遅延を起こしている世帯総数1780万のうちの3分の1に迫りつつあり、最悪このクリスマス前後に580万人の世帯主が家を失うリスクに直面している状況です。
世帯主でこの数ですからその家族を含めれば1000万規模の人々がいきなり家を追い出される勘定で、その規模に驚かされる次第です。
今年施行された法律により多くの世帯に給付金が配布されてきましたが、トランプ政権の終焉によりそれも年末には一旦支給が打ち切られることとなっています。
また同法律では最大1年間の住宅ローンの支払い遅延が認められていますが、施行が今年の3月であったことから、すでに年明けにはその期限終了を迎える人も多く、年越し後もかなり厳しい状況が続いています。
米国国政調査局が発表している州ごとの状況でみますとネバダ、ワイオミング、サウスダコタ、カンザス、アーカンソー、フロリダ、ウィスコンシン、サウスカロライナ、メリーランドといった州では全世帯の40%以上が現実に家賃、ローンの支払い不能状態に陥っているということです。
一度に家を失うことはないにせよ順次家を追い出されるリスクが高まることになるとされています。
米国ではサイバーマンデーの売上も好調といったニュースがでていますが、個人消費を支える米国の家計はもはやそれどころではないところに陥っているようで、政府なり州なりが何か対策を打つことで状況を打開できるのかどうかに注目が集まるところです。
年末から始まる米国ホームレス激増に誰が何の対策を打っているのか
年末差し迫った状況ですが、米国の議会がこれにしっかり対応して何か追加の策を打ち出せばなんとかなるものの、このまま追加の経済対策を出さないままに新年を迎えることになれば相当数の人たちが路頭に迷う可能性が高まり、ワクチン完成で一安心と実態経済とに相当な乖離が存在することを改めて感じさせられる状況となってきています。
米株だけを見ていますと、もはや相場は下がらないまま2022年まで突っ走りそうに見えますが、現実の景気と米国民の暮らしは相当悪化しているようで、どこで株価のほうが実態経済にさやよせしてくるのかが大きなポイントになりそうです。
そもそも新型コロナウイルスの感染が終息もしていない中で株価だけが異常に上昇するというのも相当な違和感があるわけですが、コロナの真の終息の前に激しい売れ戻しに直面するリスクを考えて必要がありそうです。
為替は当然株価の変動に影響を受けることになりますからここからの相場ではまだまだ楽観的な視点で取引するのは危険な状況です。